1st-8
視線を合わせる創に、秋登は大きく見開いたまま目が逸らせないでいる。
……一緒にいる、だって?化け物だっていって、それでなお?笑わせる。嘘に決まってる。
それでも、顔を俯くのさえ躊躇うような緊張感と真剣さと真摯な想いが伝わって、心の奥にある秋登が、創の眼に捕らわれていく。ボロがでそうなそれに己を必死で押し留めた。
胸が熱くなり、氷が解けていく。春の日差しに解ける氷塊のように、その瞳の熱が強張り固まっていた冷たい感情を溶かして、閉まっていた暖かな感情が目を覚ましそうになる。
「……これ以上っ!お前に割く時間はないって言ってるだろ!早く離せよっ」
バシンッ!!
繋がれた手を、無理やりに振りほどく。手がその頬を打った。爪が掠り、血が流れる。
「い、や……だ」
赤い血が流れる。大切な人、守りたいと思った存在から流れる。血は命だ。それが流れ出る。
――俺が、その存在に死をもたらす……?それは恐怖だ。俺は関わってはいけない。
「遠ざけて、遠ざけて、それでも遠ざけきれないから今ここにいるんだろっ!?」
抑えられない衝動に身体を震わす。本音を突く、創の言葉に身体を震わす。
「お前の瞳がどうであろうと、お前はお前だ。知らない過去があって環境が変わって性格も変わって。それでも心だけは変わらないままだ」
苦笑して頭に乗せられる手の暖かさが、秋登の身体の隅々にまで染み渡る。
「頼れよ。抱え込むな、発散していいんだから」
――ダメなんだ、これ以上は。これ以上は、これ以上は……決壊する。
「創、って呼べよ、前みたいに。俺ら、友達だろ。」
にかっと眩しい笑顔を見せる創に、友人に、嬉しいと思っては、だめだろうか。懺悔のように秋登は思う。祈るように、希望を託すように、自問する。
創の手から身体中に染み渡るように体温が伝わる。優しく、お日様のような暖かい“平穏”。創の存在そのものが、俺にとっては太陽みで、暗い心を照らしてくれる、晴らしてくれる。
――頼りたい。頼って良いんだろうか。……本当に、俺が“友達”でいいのだろうか。世界が違うのに、俺みたいな化け物を、今でもそう、呼んでくれるのか?




