友人の手紙
それから数年後、世界はほとんど自然を失った。
変わらず機械は残っている自然の力を吸い取っていて、誰もが生きる希望を失っていた。
そんな世界の片隅にある、未だ自然が残された場所に、小さな村が存在していた。
そこに住む少女。
レムは小さい頃に機械を止めに向かった両親と離れ離れになり、この村に自力で辿り着いた。
物心ついた頃から、他者には見えない存在を見ることができたり、人では無い者の声を聞くことができることを知った。
それを他人には打ち明けないようにしていたが、村の人々の暖かい言葉を受け、レムはその力のことを話した。
それ以来、不思議な出来事が起きると、彼女が呼ばれて解決するようになった。
そんなある日、レムは一通の手紙を受け取った。
送り主は以前住んでいた街の友人だった。
懐かしい気分に浸りながらその中身を取り出して黙読する。
「親愛なるレムへ
久しぶりね、元気にしてた?
貴方が元気なら私はもっと元気になれるわ。
と言いたいところだけど、貴方にお願いがあるの。
私達の住む地域にも機械の脅威が迫ってきたの。
これ以上自然を失ったら私達は生きていけないわ。
お願い、私達を助けて欲しいの。
手紙と一緒に街までの地図を入れておいたわ。
貴方に会えることを心より願っているわ。
貴方の心からの友 ユリより 」
友人からの助けを求める手紙に、レムは驚きを隠せなかった。
手紙と一緒に入っていた地図を見ると、記憶の中に記された昔の地図とは全く別物だった。
それだけ地形が変わり、世界が歪んでいることを知った。
レムは友人を助けるために、旅の荷物を揃えて動物達と話した。
「これから私は友達を助けに行くわ、何をすれば助けられるか分からないけど、何もしないよりはマシだわ」
だからお別れよ、と付け足して動物達と抱擁を交わす。
さまざまな動物達の返事に頷いて答え、レムは一人、荒野へと旅立って行った。