人間界
――魔王の間
転送された瞬間、間髪入れずに口を開く。
「俺とレイに攻撃の姿勢を見せれば、全力で抵抗する」
固有魔法による契約。
これで攻撃の姿勢さえ見せれば、逃げるくらいは出来る……はずだ。
「別に戦いに来た訳じゃない」
「ずっと見ていた。その手も知っているし、戦う気も無い」
隣で、レイが小さく震えている。
「同族殺しに、人間を盗む……好き勝手やったようだな」
「悪いか」
「私の息子ながら、大胆でいい」
「お前たちの関係を見ていると、人間との共存も難しくないように思えてきた」
「まぁ……このままゲートを開き、人間界に行ってもらおう」
「……どうして、母と子を作った」
「強さと弱さ、どちらを引き継ぐか見てみたかっただけだ」
「結果は失敗作が生まれただけだがな。お前の母親は殺したよ」
俺は、キレる。
だが――攻撃出来ない。
「殺してない、殺してない……焦るな」
「攻撃の姿勢を見せれば抵抗する、という契約だ。契約内容には気をつけろ、ということだな」
魔王は生贄を使わず、ゲートを開いた。
魔王城――過去に二度空けた綻びがあるとはいえ、この膨大な滞在魔力量。
「まぁ……魔界で唯一、工夫と知恵があるお前なら何とかするだろう」
「頑張れよ」
次の瞬間、俺とレイはゲートへ放り込まれた。
――人間界
「いてて……」
「大丈夫か?」
「避けて!」
間一髪で攻撃を躱す。
だが、指示が無ければ今頃死んでいた。
「レオンさん……魔族ですよね?」
「ライカ、俺がやる」
「俺とレイに攻撃するな。したら反撃する」
「駄目です!」
レイが、俺の前に出る。
「リク君を攻撃しないで下さい。お願いします」
「洗脳の形跡は無い……それどころか、この子」
「人間の女の子にテイムされてるわよ?」
「魔術師さん!」
「どういう事だ?」
「取り敢えず、話を聞きましょう」
「ここで殺すと、面白いのが無くなりそうだし」




