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第24話:ゴーレム

 ◇


 リーシャが受けてきた依頼は『ゴーレム×10』の討伐。


 ゴーレムは岩のような見た目をした鈍足の魔物で、高い攻撃力と生命力を持つが、敏捷性の低さから新人冒険者でもギリギリ倒せる魔物という扱いになっているようだ。


 ちなみに、場所は昨日と同じくノーブル山の麓から少し上ったところ。ただし、昨日よりも距離がかなり遠い。位置関係的にはちょうど昨日の場所の裏側辺りだ。


 木々が禿げた岩山の辺りにゴーレムがよく生息しているとのこと。ギルドから伝え聞いた情報だが、俺が知る攻略知識とも一致している。


「さて、着いたな」


 目の前には、ノロノロと動くゴーレムたちの姿。


 倒さなければならない魔物の数は十体なので、すぐに探して倒せるだろう。この依頼のキツいところは、難易度というよりも移動距離かもしれないな。


「結構時間かかっちゃいましたね」


「だな」


 朝の九時半に出発して、今の時間が十三時。一般的な冒険者よりも能力値が高い俺たちが急ぎ足で向かってこの時間なので、普通は泊りがけの仕事になる。この辺りが高いギルドポイントの理由になってそうだな。


 さて。大きな岩のせいで視界は微妙に悪い。ゴーレム自体は鈍足のため気が付かずに後ろを取られるようなことはないだろうが、念の為他の魔物にも注意しておいた方が良さそうだ。


「じゃあ、まずは私からね。見てなさい!」


 ふむ。自信がありそうだな。


 リーシャは意気揚々と右手を少し離れた位置を歩くゴーレムに向ける。


 そして、火属性魔法師のみが使える高難易度魔法『火焔爆星メテオ・エクスプロージョン』を、素早く放ったのだった。


 轟々と燃える赤色の火球が直線を描いて飛んでいき——


 ドッガアアアアアアアアアアアアアアァァァァ——ンッッ‼︎


 着弾と同時に大爆発を起こしたのだった。


 誰がどう見てもオーバキルになるほどの高威力魔法。喰らったゴーレムは当然生きていられるはずがない。しっかり跡形もなく消滅していた。


「どう? 私の魔法」


 ドヤ顔をこちらに向けてくるリーシャ。


 さすがは『黒霧の刃』で幹部にまで上り詰めた魔法師だ。その辺の冒険者とはレベルが違う。単属性魔法をここまで鍛えるとは……血の滲むような努力があったのだろう。


「す、すごいです……!」


「攻撃力、精度、発動速度共に申し分ない。素晴らしいよ」


「ふふっ」


 俺たちが褒めると、リーシャは満足気に微笑むのだった。


「レインとミリアの実力も見たいわ」


「リーシャの後だとちょっと緊張してしまいますね……」


 そんなことを言いながら、今度はミリアが近くのゴーレムを狙う。


 ちなみに、勝負をしているわけではないのだが、リーシャは火属性でミリアは水属性の使い手。対するゴーレムは地属性なので、リーシャの方が攻撃力を比べるなら有利という状況だ。


 ミリアは、昨日の『レッド・ドラゴン』と同じ要領で剣を振る。


 使う剣技は、『氷剣滅戟(アイス・バースト)


 すると、剣がゴーレムの身体に触れた瞬間に凍てつき——


 パキイイイイイイイイイイイイイィィィィンッッ‼︎


 と、爆散したのだった。


「ど、どうでしょうか?」


「さすがだよ」


 昨日の時点で分かっていたことだが、属性的不利をまったく感じさせない威力。


 リーシャと同じく、精度や発動速度に関しても文句の付けようがない。


「……っ! す、すご……!」


 ミリアの実力を目の前にしたリーシャは驚きを隠せないようだった。


「こ、こんなに凄い冒険者がいるなんて聞いたことなかった。いったい何者なの?」


「私はそんなに大したものでは……レインはもっと凄いですよ」


 やれやれ。ミリア……無駄に期待値を上げないでくれ。


 俺は胸中でため息をつきつつ、右手をゴーレムに向けた。


 そして、限りなくゼロ秒に近い速度で『精霊球(エレメンタル・ボール)』を放つ。


 ドゴオオオオおおおおおおおおおオオオオンンンンッッ‼︎


 白い光に包まれたゴーレムは一瞬にして燃え尽きたのだった。


「なっ……はっ⁉︎ なにこの発動速度⁉ 威力もおかしいし、何よりこんな魔法今まで見たことない……! ど、どういうこと⁉︎」


 どうやら、俺の攻撃魔法はリーシャを混乱させてしまったようだった。

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