悦楽タイム
ゆっくりを来た道を戻る。
叔父に抱えられ、夢見心地である。
自分の前世を思い出してから、随分と世界が広がり、良くも悪くも精神年齢が上がった自負はあったのだが、叔父ラブは私にとって普遍的だった。
もう永遠にこのままで、と願うも、屋敷が見えてくる。屋敷の周りに人が溢れている。皆、迎えに出てきたのだろう。
皆の表情が分かるところまで来て、叔父は私を地面に下ろした。悦楽タイム終了である。
「おかえりなさいませ、ジル様。」
オルトを始め、屋敷で働く者は皆、頭を下げる。皆、安堵していることだろう。
「随分と皆には、心配をかけたね。申し訳なかった。」
微笑みで謝罪され、またも心臓を撃ち抜かれる私。
皆も嬉しそうにしている。大団円かと思いきや、ここで現実にかえる。
「ご無事でなによりでしたわ。ジル様。」
そういえば、イライザがいた。
「オブシディアン伯爵令嬢、ご機嫌よう。」
「先にお伝えしておきますわね。何があったのかは存じませんが、今回の件は私ではありませんことよ。」
「ああ、分かっているよ。君の従者もそう言っている。」
今回って、前回何があった?と驚いていると、叔父の後から門番に連れられ、一人の男性がやってくる。
執事服を着こなし、所作は美しいのだが、濃茶の髪、下がり眉にキースと同じような一本線の目で、明らかにしょぼんとした表情をしている。
「シド、貴方、話したの。」
咎めるような顔をイライザは向け、シドは更にしょぼくれた表情になる。
「君からも、話を聞きたいから。」
このまま解散とはならず、事情聴取?が行われる事となった。
尚、古物商は、オルトの指示により選ばれた数名の人員とともに、査定を隅っこの方から行っていた。




