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叔父の帰還

 大量の物品を眺めながら、イライザは首をかしげる。

 そこへ、本来予定していた買取業者が門番と一緒にやってくる。話ややこしくなるから今来なくていいのに。


 「おまたせして大変申し訳ございませんでした。古物商のセダムと申します。」


 恰幅の良い紳士だ。急いで来たのか、汗だくだ。


 「まあ、古物商の方だなんて。ソニア様、もしかして、ここにある物、お売りになるの?」

 「はは。」


 笑ってごまかすしかない。他家の人に我が家の懐事情を知られるのは嫌だな。何で今ここにこの人いるんだろう。


 「ねえ、差し出がましいお話ではあるのだけれど、もし、お金の面でお困り事があるようでしたらこのイライザお力になりますわよ。」


 ぐいぐいくるな。


 「いえ、ご心配には及びません。」


 ちょっと及び腰になってしまった。

 オルトが口を挟もうか考えている。貴族同士の会話に割って入るのはあまりよろしくないものね。

 

 どうもこのイライザという人に借りを作りたくないのだ。どうにかしないと。


 すると、門番が凄い速さでこちらにかけてくる。


 「ジ、ジル様がお戻りになりましたっ!」

 

 気がつくと門番と入れ違いに砂利道を駆け出していた。足がもつれ転びそうになりながらも、止まることなく。 

 待っていられない。一秒でも早く会いたい。


 しばらくして息が上がって、うまく走れなくなってきた。よろよろしながらも進もうとするも、とうとう地面に座り込んでしまった。そういえば、この道を全力疾走するのは人生で初めてだ。息が苦しい。地面が段々近くなって来る。倒れそうだと思った時、体を抱えられ持ち上げられた。


 「迎えに来てくれたのかい、嬉しいよ、ソニア。」


 声で誰だか分かる。


 「おかえりなさい、おじ様。」


  息が上がってうまく話せず、なんとか言葉を発する。


 顔と顔が近い。モノクルをかけた黒い瞳は優しげで、少し乱れた胸まである髪の毛は無造作に一つに結わえられている。


 抱えられたまま来た道をもどり、屋敷へ向かう。


 「お怪我はないの?どこか痛いところはないの?私、歩けます。」


 よく見ると、来ている服のあちこちが綻んでいたり、顔に擦り傷があったり。失踪中の苦労が忍ばれる。

 疲れているだろうに、私を抱えていたら負担だろうと申し出たのだが。


 「ソニアを抱っこして癒やされてるから大丈夫。」


 眉を下げて微笑んでいる。目が合うと、更に笑みを深める。

 心臓を撃ち抜かれてしまった。そう、私は叔父が大好きなのだった。

 

 

 

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