食事の代金
モーリュ爆誕から夜が明けるまで、私が寝ている間、リズが不寝番をしてくれた。
朝になって、叔父とパックとリグさんがモーリュに会いに来た。
あちこち部屋の中をうろちょろする様子を見て、ボソボソと三人話し合っている。
「…からね。…だよ。」
「…だよね。…でしょ。」
「…じゃがの。…じゃで。」
会話の中身は分からない。しかし、三人とも困惑顔だ。
「何か、問題が?」
「ソニア、モーリュって確かに希少な薬草なんだけど、こんな感じで動いちゃってるのって、ちょっと予測してなかったから。」
「ですよね、私も驚きました。でも、マンドラゴラも動けるから、そういうタイプの植物なんだと思ったのですが。」
「マンドラゴラも、こんな自我があるのは珍しいんだよ。他のマンドラゴラ、もっと植物よりだから。」
へえーそうなんだ、良くわからんけど。
「まあ、ソニアお嬢様は薬草に好かれとるからな。」
「それ、関係あります?」
「あるぞー。まあ、そのうち分かるじゃろ。」
リグさんの口調は大らかで、安心感があって好きだ。
「何にせよ、今ここにマンドラゴラとモーリュが仲良くしてることが事実です。」
悩んでも仕方ないし。
モーリュがカーテンを登って上を目指しているのを、一生懸命マンドラゴラが引っ張って引き止めている。手がかかる子を面倒見ている保護者だ。
「モーリュの薬草としての効果に興味あったけど、ちょっと難しいかもね。」
パックが言う。普通の薬草なら、試しに煎じてみたり出来るけど、眼の前のモーリュを鍋で煮るのは悩ましい。
ふと、何かに気づいたマンドラゴラが私に向かってくる。
「どうしたの?」
腰をかがめて話を聞くと、マンドラゴラが自分の葉っぱをブチッと一枚むしり、私にくれる。
「え、何してるの!痛いでしょ!」
驚いていると、チッチッチッとノープロブレムのジェスチャーをした。
それを見たモーリュも、マネをして自分の葉っぱを千切ってくれる。
いやいやいやいや。
「無理しないで。見てるとこっちがつらいから。」
と言うと、植物コンビが並んでチッチッチッという。
ここでご飯食べてるから、代金代わりみたいなことを言って、良いから取っとけと言われた。
良いのかなあと思ったが、三人は普通に喜んでいたので、葉っぱを渡しておいた。
これで、色々研究しようと意気揚々だ。
私としては、果たしてモーリュがマンドラゴラのように、一緒に私達の食事を摂れるのかがとても気になっていた。




