サムズアップする植物
「もしや、モーリュ?」
胸を反らせた植物を見ていると、部屋をノックされ、叔父とリズが入ってくる。
「ソニア。」
焦ったような、やや強張った表情だ。どうしたんだろう。
リズも、若干臨戦態勢だ。はて。
良く分からないが、とりあえず、紹介しなくては。
「叔父様、リズ、こちらモーリュです。」
マンドラゴラの横にいる植物に手を差し、二人に紹介する。紹介されたモーリュは、いそいそと身支度し、葉をわさわささせ、挨拶をした。
モーリュの見た目は、何ていうか、フェンネルっぽい。
細いハリのような葉が生い茂り、身体は丸々としている。顔は黒丸2つに笑顔に見える口の曲線という、簡単な作りをしている。
叔父とリズは、少し気を抜き、挨拶を返す。
近くで見守っていたマンドラゴラは、ほっと息を吐いた。
「ソニアの部屋で異変があったのを知ってね、ちょっと慌ててしまってね。驚かせてごめんね。」
寝間着の上にガウンを羽織った叔父は色気ダダ漏れで、もはや眼福を越えて、見たら目が潰れるレベルの刺激だった。乱れた髪が何とも言えない。
リズは、マンドラゴラに事情を聞きながら、モーリュとコンタクトを取っている。
「さっき、生まれた?みたいで、マンドラゴラが知らせてくれました。モーリュって動ける種類の薬草だったのですね。普通に芽が出ると思っていたら、違いました。」
「文献には、動くような記述はなかったけれど、事実、今動いているね。面白い。」
「マンドラゴラがモーリュにここの暮らしを教えてくれるそうです。」
リズは、今後の予定を取りまとめてくれた。モーリュが今のところ危険とは見做されないので、しばらく様子を見ようということに。
うっかり油断してモーリュに襲われるとか、B級ホラー映画のようだ。
「叔父様もリズも、ありがとうございます。二人が来てくれて安心しました。」
モーリュは、目に入るもの全て珍しいのだろう、部屋の中をウロウロし、今は、窓から見える景色に釘付けだ。葉っぱをさわさわとなびかせ、楽しそうだ。
マンドラゴラが保護者のようにそっと付き添っている。ほんといいヤツ。
しばらくは、この部屋で過ごしてねと伝えると、植物コンビはサムズアップしてくれた。
叔父から、夜明けまでまだ随分あるから、ソニアはもう少し眠りなさいと言われ、その通りにする。
おやすみなさいの挨拶に、叔父は私の頭を優しく撫でて部屋を出た。
とても嬉しかったが、そういえば、私、寝グセすごいことになっていたと朝になって気付き、羞恥心に悶えたのだった。




