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流血の先に

 「……ま、お嬢様。」


 誰かの声がする。

 目を開けると、リズの顔がある。


 「え。」

 状況把握が出来ていないので、間が抜けた声を出してしまった。


 「お気が付かれましたか、ソニアお嬢様。」

 キースも視界に入ってくる。

 あれ、私、どうしたんだろう。

 体を起こそうとすると、リズに押さえられる。


 「しばらく横になってください。医師がもうすぐ来ます。お嬢様はお倒れになったのです。」


  横からキースが口を挟む。


 「そうですよ、ソニアお嬢様、頭抱えて唸った後、意識なくされたんですよ。おまけに倒れた時、机の角でおでこ切っちゃってピューって血が出たんですよ。ちょうどジル様が作った切り傷用の薬があって良かったですね。薬を塗ったらきれいに治りましたよ。」


 ピューって出たのか。それは是非見てみたかった。それにしても、キースってこんなに喋るタイプだったんだ。

 横になったまま、首を回して目線を動かすと、確かにラグに血がついている。高そうなラグなのにどうしよう。


 首を再び回して天井を見る。倒れてしまって、きっと疲れていたのだろうな。叔父失踪からの日々は、私には負担のないよう、周りの皆が配慮してくれていたけれど、不安になったり、緊張したり、私なりに気を使っていたようだ。10歳のキャパシティはそんなに大きくなかった。


 ふと、右手に何かを持っていることに気がついて、見ると、金貨を握りしめていた。


 「500円玉。」


 独り言でつぶやき、思い出す。そうだ、私は転生したのだと。


 怒涛の黒歴史とともに新たなる決意をしたのだ、金貨を集める推し活をここから始めよう。


「オルト、お願いがあるのだけれど。」


 リズの後ろから様子を見ていたオルトは一歩前に出る。


 「このオルトに出来ることでしたら何なりと。」



◇◇◇


 オルトへのお願いは、領地を管理するための教育だった。

 

 前世を思い出してから、自分に余裕が出来たように感じる。精神年齢?が上がったためだろうか。叔父の安否は相変わらす不明だが、泣き暮らすこともなく、今は領地管理について、学んでいかねば。金貨を集めねば。


 実際の我が領地の詳細な資料と帳簿を見比べながらお金の流れをなぞっていく。


 「3年前の冷害が打撃を与えたのね。」

 「はい、領民の殆どが農作物が通常の2割以下しか収穫出来ず、その年に納める税の徴収を見送ったのです。そこから今に至るまで、収穫量はもとに戻りつつありますので、税の徴収額は段階的に元の水準にあげている段階です。」


 税の徴収額を上げれば良いと言うことではないのよね、と考えソニアは息を吐いた。




 

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