アメリの日記
私、アメリはラズーライト伯爵家に仕えて本日で5年目になった。
ここは、ルベライト王国の北の果て、王都のような華やかさやにぎわいはないけれど、治安は良く、冷害で食べる物に困った時も領民の皆が飢えることなく切り抜けてきた。
実際凄い。よその領地では、毎年のように飢饉で大勢の人々が犠牲になっていて、皆生きているのはラズーライト伯爵家の皆様のおかげだと周りの人達は言っている。ここで働けて良かったと日々感謝だ。
そんなラズーライト伯爵家のソニアお嬢様は最近、領地を豊かにするため、とても積極的に行動されていいる。屋敷の中で使わないものを探して売り払ったのは、記憶に新しい。お小さい頃から物欲がない方だったけれど、思い切った決断をされたのには驚いた。
近頃では、薬草畑に行かれるため、上下につながった作業服を着ていらっしゃることがある。そのお姿を見て、憧れて、同じような作業服を仕立てる領民が増えてきた。
私から見て、お嬢様は人見知りする事があると思っていたのだが、現在滞在中のパック様、薬草畑に移住されたマンドラゴラ様とも打ち解けられていて、毎日楽しそうにお過ごしだ。マンドラゴラ様は、初めてお目にかかった時は正直怖かったが、今では、お会いすると根っこを振って気さくに挨拶してくださる。
マンドラゴラ様は、それまで暮らしていた土地がやせ細ってしまい、命が危ぶまれる状態になり、たまたま通りかかったパック様に助けを求められここにたどり着いたそうだ。大勢いた仲間を失い、豊かだった生まれ故郷を去ることはとてもお辛かったと思う。これから、嬉しい事、楽しい事が沢山ありますように。
今、使用人の間で、節約が流行っている。領地のためにお嬢様が始められたことだが、皆、自分自身のお給金の使い方を見直している。ここのお給金は近隣の領地と比べて、沢山頂いている。多くの領地では、経営するにあたってお金が足りなくなると、領民からの税を増やす。伯爵家に仕える私達のお給金を減らされることもありえる。それをせず、活路を見出そうとしているお嬢様、ジル様を屋敷の皆は全力でお支えしようと話している。
そういえば、ソニアお嬢様に、縁談がきていた。これまでは全て条件が合わないとジル様が却下されていた。今回もそうなるだろうというのが多くの使用人の意見だ。
いつかは、人それぞれ変わっていくのだとしても、私としてはこのまま皆、変わらないでいて欲しい、そう思ってしまう。
それはきっと今が幸せな証拠なのだろう。




