マンドラゴラフィーバー
「ひっ。」
と声をあげたのは、侍女のアメリだ。今日はリズとともに給仕してくれている。
分かる、その気持ち。
パックが引っ張り出した植物らしきものは、顔がある。しかも怖い。シワシワにしぼんでるし。
「それって、マンドラゴラかい?」
程よい距離をとっていた叔父が近づいてくる。
マンドラゴラって、あれかな?地面から引っこ抜かれる時に悲鳴上げるやつ。
「そうだよ!やっぱりジルも知ってたんだね!」
パックが興奮気味に話す。
じっくりマンドラゴラを見る。目の部分であろうくぼみがなんとも言えない。手足に見える根もリアルだ。枯れているのかもしれないけれど、どうも生きている様に思え、じっと見つめると、ふと目があったような気がして、慌ててそらす。
「このマンドラゴラに頼まれてるんだ。良いところに植えてくれって。これまで何回か場所を変えて試してみたんだけど、満足出来なかったみたいで、鞄に戻って来るんだ。良ければジルの畑にお試しに植えさせて貰えないかと思うんだ。どう?」
そいつ喋るんだ。そして自分で移動出来るんだ。わあすごい。
「ソニア、薬草畑にマンドラゴラ植えてみたいんだけれど、どうかな?」
貴方がそう仰るなら。
「もちろん、植えましょう。」
◇◇◇
本日二回目の薬草畑へ。
叔父とパックと連れ立って。
日は傾き、もうすぐ夕焼けに染まるだろう。
畑には、まだリグさんがいた。本当に好きなんだな。
「なんじゃ、また来て。おっ、お前さん、手に持っとるもん、見せてくれんか。」
パックが嬉しそうにリグさんにマンドラゴラを手渡し、話に花を咲かせる。叔父も加わり、大変盛り上がっている。マンドラゴラってそんなにすごいんだ…。
ちょっとマンドラゴラへの理解を共有できなくてさみしい。
隅っこで草をぶちぶち抜いていたら、不意に声をかけられる。
「穴を掘ったから、ソニアがマンドラゴラ埋めてあげて。」
いやだ叔父様、何故に私。
そう言いたかったが、すごくいい笑顔の叔父を前に断れなかった。えー、マンドラゴラに噛まれたらどうしようとか考えながら、頑張って埋めて、土までかけた私は偉いと思う。




