青天の霹靂
「張り切ってましたね、リグさん。」
叔父と再び手を繋いで屋敷までの道を歩く。永遠にこの時間が続けばよいのに。
「そうだね、あの人は薬草作り好きだし、きちんとした薬も作れる。ソニアのお陰で使える予算が増えて、畑と薬草の種類も増やせるから、嬉しいこと尽くしだろうね。」
「喜んでいただけたのでしたら何よりです。私もリグさんに弟子入させていただいて、これからが楽しみです。」
そう、ダメ元で弟子入りをお願いすると、あっさり受け入れてもらえた。
ソニアお嬢様は薬草に好かれとるからな、と言っていた。好かれているのか。嬉しいことだ。リグ様なんて、様付けは勘弁してくれと言われたのでリグさんと呼ぶことに。
「沢山学ぶといいよ。私もリグさんに教えてもらったし、今でもお世話になっているから。」
学ぶことで、少し叔父に近づけるのだろうか。
手を繋いだまま、まっすぐ屋敷に戻らず、しばらくふらふらする。
「叔父様は薬草や薬に関わることはお好きですか?」
一度聞いてみたかった。
「うーん、そうだね。面白いし、誰かの役に立てるし。」
考え方が尊い。
「叔父様を目標に頑張ります。」
「ありがとう、良かったらリグさんも目標にしてあげてね。」
青空がどこまでも続き、今生きているこの世界は美しい。眩しそうに空を見上げる叔父の姿をそっと、心のマイフォトブックに追加しておく。
「あれ。」
不意に叔父が声をあげる。視線を辿ると、人影が。なんか小さいのがピョコピョコしている。
じっと見ていると、ピョコピョコしているのがこちらに気づいて走ってくる。
「遊びに来たよ、ジル!」
助走そのままに叔父に抱きつき、全身で喜びを表現している。叔父がおいおいと言っても抱きついた手を離さない。
自分以外に叔父に抱きつく人を生まれて初めて見た。
ソニア、十歳、青天の霹靂である。




