前世との邂逅
いつの間にかソニアは金貨で一杯の部屋にいた。
自分が座っているスペース以外、うず高く積み上げられた金貨。きらめきが眩しいほどだ。
一つ、手にとって見ると、金貨なのにどこかおかしい。
なんだろう、じっくり見てみると、見覚えがある。数字で500と刻印されているのが分かる。
え、これ500円硬貨じゃね。
そう考えたとき、正にフラッシュバックがソニアを襲った。
ソニアではない自分が現れる。
500円硬貨は、ソニアでない自分が大好きだったものだ。
ぐるぐると部屋が回転しているような感覚に陥る。同時に頭の中も嵐のように記憶が蘇る。
私は、アラサー喪女、考えなしで推し活に課金しすぎて毎月カツカツの生活の上、ブラック企業でのハードワークに体が耐えきれず、ある日倒れてそれっきりになってしまったのだった。
なんでこんなことを思い出してしまったんだ!出来れば忘れていたかった!
500円硬貨を握りしめ、しばらく悶絶する。
押しのグッズをコンプリートしたり、全国ツアーを制覇したり、その支払をリボ払いにしたのは良いが、3桁の支払回数、もはや元金の3倍に膨らんだ手数料に自己破産寸前となり、親に泣きついて肩代わりして返済してもらった黒歴史など、えぐいの一言だ。しかも親にお金を返す前に死んでしまった。
ああ、やり直したい。
そう思った時、ふと、今はソニアとして生きているんだからやり直せるんじゃ、と気がついた。
500円硬貨を見つめる。小さな頃、お小遣いは100円玉で、500円玉をもらえることは珍しくて、貰えたときは嬉しかったな。500円玉のずっしりした重みが大好きだった。
そうだ、これからは500円硬貨を集めていこう。500円玉の推し活をしよう。段々とよく分からない方向に意識が持っていかれたが、ひとまず、ソニアは希望に満ちていた。
そして、立ち上がって出口を探そうとした時、再び、ぐるぐると部屋が回転し始め、ソニアの意識は遠くなっていった。




