注目の査定結果
しばらくは我慢していたのだが、好奇心に勝てなくて、セダムさんにそろばんの話を聞く。
5つ玉と4つ玉の話で盛り上がり、セダムさん自身は4つ玉のそろばんを使っているが、セダムさんのお祖父様は5つ玉だった等、ニッチな会話をしばらく続け、想像以上に交流を深めてしまった。
そうして、買取金額が決定し、お支払頂くこととなった。主にオルトのおかげで、まずまずの交渉が出来た。
「それでは、こちらのご確認をお願いいたします。」
セダムさんがおもむろに懐から取り出した革袋の中身を机に出す。
「しめて金貨352枚ですな。良いお取引となりましたので、端数は切り上げさせて頂きました。」
最後のサービスもありがとう。オルトが頷き、セダムさんもホクホク顔なので、お互いウィンウィンになれたと思いたい。
「ところで、ご相談があるのですが。」
セダムさんがキリッとした表情で切り出す。
「私は職業柄、様々な地域に暮らしている方と出会うのですが、時々、お願い事をされるのです。ここから南に下ったルチルというところは、オリーブの生産地でして、この度は大収穫だったそうです。そのオリーブから絞った油が名産品なのですが、それもまた大量につくられまして、私にオリーブ油を欲しい方があれば取り次いでもらいたいというのです。」
どこからともなく、遮光性のある黒っぽいガラス瓶を取り出す。コルクで蓋がしてある。
「それがこちらのオリーブ油です。」
オルトに目配せをすると、頷き、そしてリズを見る。リズもまた頷き、そっと部屋を出る。
少しして、部屋には我が家の料理長が。阿吽の呼吸でリズが呼んできてくれたのだ。
良い食材かどうか、プロに聞くに限る。中身を改め、料理長も頷く。出来の良い油らしい。そこからまた、先程の交渉のように、ボソボソ話ながら、購入量、支払額を決める。いや、オルトはすごい。商人相手に駆け引きするのは、私にはまだ荷が重い。
「それでは、早速あちらに連絡します。遅くとも2週間後にはお届け出来ると思います。」
ふくふくゆるキャラセダムさんが大黒様か恵比寿様に見えてきた頃、幕引きとなる。
用意した馬車にうちの荷物を乗せ、御者席の隣に腰掛け、挨拶をして出発していく。護衛らしき人たちの姿も見える。
行きはオリーブ油を馬車に積んで、我が家までのルート上にある販売先におろし、空にしてからここに来たそうだ。行きと帰り、なるべく荷物を詰め込んで、輸送の無駄を省くのだそうだ。
今日得られた金貨の使い道はしっかり皆と議論して決定したい。
ひとまず、サービスで貰ったオリーブ油を手に、大好物のジャガイモを使ったしょっぱい系の某スナック菓子を再現できないか、料理長のもとへいそいそと向かう私だった。




