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非物理的衝撃

 散歩を終え、叔父と食事をとる。いつものメニューを頬張り、美味しさにうっとりする。

 実は、流血騒動のあと、自分の食事の品数を減らして節約する提案をしたのだが、リズは首を横に振った。


「お嬢様のお考えはご立派ですが、成長期のお嬢様にはきちんと栄養をとっていただきたいのです。」


 ちょっと不満そうな顔をすると、リズは改めてこう言った。


「お嬢様が食事内容を倹約する場合、私達伯爵家に従事する者も当然、それに倣います。よろしいですか。」


 よろしくないです。自分はともかく、人に侘しい思いを出来るだけさせたくはない。

 なので、食事内容はそのままで、他に金貨への道筋を立てることにしたのだった。


 確かに、食事に満足すると幸福だもの。何にお金を使うのか、何に使わないのか、良く考えないと。


 「今日の査定の続き、ソニアは見に行く?」


 食事姿も素敵な叔父がスープを飲んでいる。今日のスープはかぼちゃのポタージュだ。これまた美味しい。焼き立てのクルトンも入っているのがなんとも好みだ。


 「オルトがいてくれるなら査定はお任せして大丈夫だと思っていましたが、どうかされましたか?」

 「最後の精算は立ち会う方が良いかな。」

 「はい、精算時は伺おうと思っていました。」

 「では、その時にまた。」


 叔父は、用事を済ませに屋敷の外に出かけていった。


 「お嬢様、本日はいかがなさいますか。」


 叔父のいない日々、領地のことを学び続けていた。叔父が帰ってきてからも、それは継続したいことだった。


 「部屋で資料を読みます。古物商との精算になったら、声をかけてください。」


 

◇◇◇


 昼前、リズが知らせに来てくれ、応接室に入る。

 ソファの前で立っている人がいる。セダムさんだ。古物商の。


 「この度はお取引頂き、誠にありがとうございます。セダムでございます。」


 ふくふくしたゆるキャラのような見た目の人だ。

 オルトも交えて今回の査定金額の話に入る。叔父もいるのだが、離れたところにいて、積極的には話に入ってこない。細かいところまで話ながら金額の上げ下げの話をしていく。ちょっとしたテクニックで買取額が増えることもあると以前、オルトが言っていた。

 

 会話の内容も聞いているのだが、さっきからゆるキャラセダムさんの手元が気になっている。あれは、もしや、そろばんでは。パチパチと指で珠を弾くさまは間違いない。その時、頭に非物理的な衝撃を受けた。


 私、そろばん習ってた!


 すっかり忘れていたのが思い出した。そこからは暗算で計算するのが得意になって、領地の数字を追うのが楽になって、そろばん習熟については、前世思い出して良かったリストに追加されたのであった。


 




 


 




 

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