夢のケーキ
ソニアは悩んでいた。
ソニアは、というより、ソニアの前世の自分が悩んでいた。
そこはデパートの地下、いわゆるデパ地下だ。
お洒落なお店のスイーツコーナーをあちこちめぐりながら、あの有名なモンブラン食べたいな、この限定チョコケーキもいいなとウキウキ悩んでいた。だって今日は自分の誕生日なのだ。誕生日くらい好きなケーキを食べたいもんだ。
しばらくして、ふと思い出す。今月、クレジットカード使いすぎじゃね?と。収入分以上に使ったら、まずいのは当たり前。眼の前のケーキは高級品。ここはガツンと我慢の子。
そう思って、デパ地下を出て、自宅へ向かう。ああ、美味しそうだったな、残念。
不完全燃焼の気持ちを抱え歩いていると、信号を越えたところにドラッグストアがある。
そうだ、スナック菓子で満足できるじゃん。
吸い込まれるようにドラッグストアに入り、かごを手にする。
陳列棚をみるとどれも美味しそう。そして価格もお手頃。調子に乗って甘い系、しょっぱい系、色々取り揃え、お会計。
ケーキ一つよりもお得に楽しめそう。
余裕を持って支払い、袋いっぱいのお菓子を持って帰る。
部屋につき、お菓子を机の上に広げて気がつく。デパ地下のケーキ一つより袋いっぱいのスナック菓子の支払額の方が大きかったことに。
え、これ、ケーキ買った方が出費小さいし、満足度も高かったんじゃ。
声にならない声で呻いた。誕生日だったのに、私は何にお金を使ったのかと。
結構なレベルの後悔に襲われていると、部屋のインターホンが鳴る。
一応用心してモニターをみると、箱の入った袋をかざした笑顔の叔父がいる。そして言うのだ。
「ソニア、お誕生日おめでとう。ケーキ、一緒に食べよう。」
嬉しくて嬉しくて、ドアノブに手をかけた。
◇◇◇
目覚めると、薄明るい。早朝のようだ。
清々しい気持ちで体を起こす。昨日はあんなに辛かったのに、今は、ここ何日かの中で一番スッキリしている。良く寝たからか。
「お嬢様、お体の具合はいかがですか。」
リズから静かに声が掛かる。
「昨日はごめんなさい、ありがとうリズ。とても良い気分よ。何だかね、あまり覚えていないのだけれど、いい夢をみたの。叔父様が出てきたのだけ、覚えてるの。」




