サブレ効果
やっぱりイライザはすさまじい子。
悪びれていないていないのもさすが。
感心していると、横からサブレが現れた。差出人は叔父で、端から見ると、あーんしての状態だ。花の形をしたそれを口にするとサクサクと軽い歯ごたえ、ふわりと香るバター、程よい甘みを感じ、うっとりする。前世の記憶から思い出した願掛けに倣ってしばらくおやつ断ちをして叔父の無事を願ったので、無事戻ってきたので今から解禁だ。久しぶりの甘味は至福だ。しかも横で叔父は、にこにことこちらを見ている。眼福で至高。
心のマイフォトブックに今の叔父の顔をしまっておく。
「このサブレ、美味しいわ。」
イライザも褒めてくれた。サブレそのものに興味が湧いたようで、甘味は何を使っているかとか、焼き加減のコツ等、リズを交えていろいろな話をしながら、お茶のおかわりをもらったりして、なんかもう、ただのお茶会になってきた。
日が傾き、そろそろお開きの時間となる。別れの挨拶をし、席をたったイライザは、叔父の方を向いた。
「この度も、ご迷惑をおかけしてしまいましたのね。申し訳ございませんでした。ジル様、そしてソニア様。」
おお、イライザ、ごめんなさいが言える子だったのか。
「あまり無茶はしないことだよ。君の兄上も心配しているからね。」
叔父は穏やかだ。前回拉致監禁されかけた時も、今のように、ゆるい感じで諭して終わったのだろうか。
「お兄様には安心していてもらいたいのですわ。」
それでは、とイライザはドアへ向かう。シドも深々と頭を下げた後、主の後を追う。
二人が去った後、イライザはいつもああなのですかと叔父に問うと、そうだねと笑う。今日はお灸を据えようかと思ったけど、ソニアが美味しそうにサブレを食べてるのを見たら、まあ良いかって思ったから、と私の頭を撫でながら言う。
確かにあのサブレはとても美味しかったのだ。




