今日も明日も明後日も
今日も私は生きている。
高校生の時からなんとなく、
「私は26歳になったら死ぬんだ。」
と漠然とした思いがあった。
別に本気で死にたいわけじゃない。ただなんとなくそう思って過ごしていた。
生きていて今日が1番幸せだった。あぁ、今日も私は生きている。毎日それの繰り返し。
「26歳になったら。」そう思っていたのに、気付けば私は27歳になっていた。 21歳で出会った人と23歳の時に結婚した。優しい夫、世界一大切な宝ものも授かり、きっと誰もが想像する平凡で暖かな家庭。SNSには子どもの事、家族の事、友達とのプライベートな時間。毎日の思い出を記録し、限定された友達に公開し、交流する。私は幸せな人間。
夫との出会いは大学生の頃。
私のバイト先の常連さんだった。とにかく顔が好みだった。色が白く細身で、笑った時の目元がとても印象的な男性だった。女性に対し高圧的な態度をとってくる男性客も多い中、私の夫はいつも
「ありがとう」
「今日もお疲れ様です」
と優しく微笑んでくれた。
好きにならない理由なんてあるだろうか。
夫から声をかけてくれ、2人で食事に行き、お付き合いをするまでに時間はかからなかった。
夫は気持ちをストレートに言葉で表現してくれる人だ。
「好きだよ」
「可愛い」
「こんなに幸せな時間をありがとう」
毎日何度も何度もそう伝えてくれた。
夫の事は全て好きで愛しているが、1番好きなのはこういうところだ。
結婚が決まった時に両家の顔合わせをした。
夫の両親はフォーマルで揃えて来てくれた。だから私の両親がカジュアル、父親はシャツにデニム姿だったのでとても驚いていた。もちろんそれを口に出すほど教養が無いわけではないので、最後まで和やかに顔合わせは進んだ。
顔合わせが終わり家に着くと、夫の両親から電話がかかって来た。
「顔合わせなのを分かっていて、あんなラフな格好で来るなんて驚いた。」