第1話 価値の高い欠片①
お待たせ致しましたー
「あ、そうだ!」
帰る前に、颯太君が声を上げますと……いつもの扇子を出して、ぽんぽんと手に当てました。
「「あ」」
僕も賢也君も忘れていましたが……『心の欠片』です。
相変わらず、綺麗なシャボン玉にしか見えませんが……颯太君が美麗さんの前に差し出すと、美麗さんはらしくないくらい……大口を開けてしまいました。
「ふ、颯太……はん? この、欠片……!?」
「うん。今回の本当のお土産。僕が柊司君から取り出したんだー」
「……こんな、すんごい欠片……うちに?」
「そうそう」
そして、美麗さんは僕と颯太君を交互に見た後……ピューっと音が出る勢いで、バックヤードに行ってしまいました。
そして、数分後……大きな紙袋を持って、戻ってきましたが。
「こ……これ!! さっきの試作諸々……あと、美味しい餡子の炊き方のメモどす!! さ、さっきご購入いただいたのだけでは、そないに凄い欠片受け取れません!! 急拵えやけど、これで堪忍!!」
「え……そんなにも?」
「軽々しいもんちゃいます!! その欠片……値はかなり張りますえ!? 下手すれば、億近くなりますぅ!!」
「「ええ!?」」
そこまで価値があるのに、僕もですが賢也君もびっくりして……さっき美麗さんがしたように、僕らもお口あんぐりです。
その間に、手が空いてた賢也君に美麗さんが紙袋を持たせましたが。
「ははは! やっぱり、柊司君の欠片だとそんくらいするよねぇ?」
ひとり、颯太君はコロコロ笑っていますが……君が一因なのに、と思っても気にしていないようです。
とりあえず、欠片は美麗さんが大事に受け取って……取引成立(?)のようなやり取りは無事終わり。
そして、美麗さんが『あ』と声を上げました。
「せや。店長はんの欠片がどんなけ凄いのか……今から、換金所行って確かめましょ?」
「いいねー?」
「え、けど。お店は?」
「今日は充分過ぎるくらい、売り上げいただきましたー。せやから、店仕舞いで大丈夫どす」
ちょっとだけ待って、と外は寒いから店内で待つことになり。
せっかくだから、沙羅ちゃんにはコーヒー餡のお菓子もひとつ食べさせてあげると……桜もよりも、コーヒーの味があるからかとても美味しそうに食べてくださいました。
ただ、そのあと。
「あ、あ、あ!」
ぽんぽん、ぽんぽん……と沙羅ちゃんが手を叩いたのですが。
そこから……小さな、泡? シャボン玉が??
「……ありゃ、自力で欠片出してる」
「「えええ!?」」
颯太君の言葉に、僕と賢也君は大声を出してしまいました。
たしかに……小さな泡がだんだんと、大きくなって……中央がピンク色の、綺麗なシャボン玉が出来上がったんです!?
「うーあ!」
凄いことをしたのに、沙羅ちゃんはさらに喜ぶだけでした……。
次回は17時15分〜




