第4話『コーヒー餡の和菓子』
お待たせ致しましたー
流石は、本職といいますか。
夏のお祭りの時に、屋台でも拝見しました……あんこ玉の景品となっていたお菓子も素晴らしかったですが。
冷蔵付きの、ガラスケースにある上生菓子の並びには……感動しか浮かびません。どれもこれもが、沙羅ちゃんと同じくらい、僕も食べたい気持ちになってきますね?
「あーう、あ!」
抱っこしている僕の腕の中で、沙羅ちゃんはジタバタと可愛らしく動いています。匂いは感じませんが、本能的に食べたいお菓子でも見つかったのでしょうか?
「どれを買いましょうかね?」
「うー!」
「せや。店長さんがクッキーくれたさかい。ひとつずつやったら、お好きなもんここで食べてええどす」
「え、え!? これ高いのでは」
「ほほ。高いどすけど、あんまり日持ちせんのです。せやから、裏はともかく……ここのやったら、見本も兼ねてますので、ええどす」
「裏?」
「物によっては、冷凍保存しとるんや。ヒト側でも店によったらそうしとるえ? 毎日毎日……下手に捨てるよりずっとええんよ」
「……なるほど」
僕も、焙煎したコーヒー豆を一部冷凍保存していますからね? ケースバイケースは大事です。
「う、う、う!」
感心していると、沙羅ちゃんがさらにジタバタ動きました。
選んだのか……視線を追うと、ピンク色の梅か桜に見えるお菓子を気にしていました。
「こちらですか?」
「う!」
「ほんなら、お嬢さんには桜を。店長さん、今ちょぉ思い出したんやけど……新作の味見の方お願いしてもよろしおすか?」
「新作、ですか?」
「ええ。コーヒーを使った、練り餡のお菓子や」
「是非!」
僕だけでなく、賢也君達もそれをいただくことになり……まずは、沙羅ちゃんのお腹を落ち着かせるのに、先に桜のお菓子をいただき……ちぎって、沙羅ちゃんの口に入れてみました。
「あーう!」
とても美味しいのか、喜んでさらにジタバタしてくれました。
「美味しいですか?」
「あ!」
「もっと食べますか?」
「う!」
と言うやり取りをしながら……美麗さんが戻ってくるまで、僕はお菓子がなくなるまで沙羅ちゃんに食べさせてあげました。
「お待ちどうさん」
試作したお菓子と言うのは……全体的に黒と茶が美しい上生菓子でした。
四角の形で、上には……コーヒー豆をチョコレートでコーティングしたものでしょうか? チョコレート菓子にはたまにあるようなそれが可愛いらしく載っていました。
「美味しそ!」
「ほーん。綺麗やんな?」
「いただいてよろしいでしょうか?」
「もちろん」
まだほうじ茶が残っていましたので……お行儀が少し悪いですが、テーブルがないため、ガラスケースの上にお菓子のお皿と湯呑みを置き……添えられた竹の楊枝で切り分けて見ると。
中は濃い茶色の……美しい餡子が出てきました。
「「「いただきます」」」
沙羅ちゃんは一旦バギーを広げて、くつろいでもらっている間に……お菓子を食べましたが。
夏祭りのあの時も思いましたが、優しい舌触りのなめらかな餡子がとても美味しいです!
コーヒーの味わいはほのか……上のチョコでコーティングしたコーヒー豆を噛めば、適度な苦味が甘さを抑えてくれました。
「店長さんが、この前『あんこコーヒー』言ってたじゃないです? それ参考に、作らせてもろたんや」
「そんな……僕の拙い説明で」
「ええんよ。良いインスピレーション貰いましたわぁ」
そしてこのお菓子……ほうじ茶との相性が抜群です。お抹茶でも良いかもしれません。
それをお伝えすると……美麗さんはさらに優しく微笑んでくださいました。
「美麗のお菓子は、あちこちのあやかしが買いに来るくらいだからね! 僕も大好き!!」
「おおきに」
颯太君は本当に大好きのようで……見た目相応の、子供らしい笑顔になった程です。
とりあえず……日本円でお菓子は購入出来ましたので、皆さんで相談し合いながら……沙羅ちゃんの食べられそうなお菓子を買いましたが。
手の込んだものですのに、意外にリーズナブルでした。
次回はまた明日〜




