第3話 あやかしの店
お待たせ致しましたー
「じゃ、こっち」
僕と賢也君が感心していますと、颯太君が扇子を向けた場所は……少し裏通りのようです。
その裏側も、表側同様にかなり風情がある通りでしたが。
バギーもなんとか通れなくはないですが、万が一のことも考えて……沙羅ちゃんは僕が、バギーは賢也君が折りたたんで抱えました。シュールに見えなくもないですが、仕方がありません。
しばらく歩きますと……赤紫のような暖簾があるお店の前で、颯太君が止まりました。
看板は特に見当たりませんが、暖簾には白い字で丸と『美』と言う文字が書かれていましたね。
「……ここですか?」
「そうそう。雰囲気いいでしょ? 入ろ」
早速と言わんばかりに、颯太君は暖簾をくぐったら引き戸を開けました。耳通りの良い音に、心が少しほっとした気がしました。音の効果は何気にバカに出来ませんからね?
「……いらっしゃいまし」
中で出迎えてくださったのは……今日は耳が長い方の美麗さんでした。いえ、こちらが本当の姿でしたね。
中は、本当に雰囲気の良い和菓子屋さんって感じです。
完全に木造建築ではないですが……老舗和菓子屋さんの雰囲気満載ですね? 妖怪さんですので、どれほど営業されていらっしゃるかは聞いていませんでしたが。
「やっほー、美麗。今日は柊司君達も連れてきたよ?」
「ほんに。わざわざありがとうございますー」
コロコロと笑われるのは、ちっとも嫌味ったらしくないです。むしろ、似合い過ぎますね? さすがは美系揃いの妖怪さんのおひとりです。
「この前は来ていただきありがとうございます。あの、これつまらないものですが」
沙羅ちゃんを抱っこしたままですが、クッキーを入れた紙袋を差し出すと……美麗さんは、ちょっと目を丸くしましたが、すぐに……ゆるく目を細めました。
「わざわざ、ありがとうございますー。あら、この包み方やと……手作りどす?」
「はい。僕が……一応」
「嬉しいわぁ。心がこもったお菓子やと、お見受けしますー。これは食べるの楽しみやわ」
にっこりと笑ってから、美麗さんは一度カウンターに回り……クッキーの紙袋を置いてきたかと思えば、すぐに人数分の温かいお茶を淹れてくださいました。手際が良過ぎます。
「わーい! あったかいお茶!」
「……少し寒かったから、ありがたいわー」
「いただきます……」
湯呑みの中身はほうじ茶で、ひと口飲んだだけでほっと出来ました。冬が近い長野もですが、こちらでもそれなりに寒かったんですよね? 念のため、薄いコートは着てきましたが……本当に冷え込んできました。
「ほんなら、今日は颯太はんから聞いています。うちの店で、そちらの沙羅嬢ちゃんに見合うお菓子……探しに来たと」
「はい、是非お願いします」
「あーう!」
沙羅ちゃんは、美麗さんが指を向けたガラス張りのディスプレイに興味を持ったのか……美しい上生菓子の並びを見て、僕の腕の中で嬉しそうにはしゃぎました。
次回は45分〜




