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第1話 あやかしの金策

お待たせ致しましたー

 雑誌の準備は着々と進んでいるようですが、僕や賢也(けんや)君は時折笹木さんがメールか直接来店されることで確認する以外……特にすることがないので。


 思い切って……その日は、お店をお休みして、あるところへ向かおうと思います!


 その場所は、僕が気軽に行けないので……座敷童子の颯太(ふうた)君にお願いするしかありませんが。



「いいよ〜?」



 お願いしようとしたタイミングに、ちょうどよく颯太君が来店してくださったので……僕は彼ご所望のカプチーノをご馳走する時に、お伝えしたんです。


 沙羅(さら)ちゃんの更なるご飯克服のために……ハロウィンイベントの時にいらっしゃった、耳長族の美麗(みれい)さんのお店への行き方を教えて欲しいと!


 それを、カプチーノ一杯であっさりと承諾してくださいました。



「ありがとうございます」


「僕も久しぶりに美麗のお店行きたかったんだよねー? お菓子買いに行きたかったし」


「……あの。ひとつ聞きたかったんですが」


「ん?」


「颯太君の……お金の調達はどのように?」


「ああ。そう言えば、教えてなかったね?」



 手を出して? とお願いされたので、僕は両手を差し出すと……颯太君はお気に入りらしい扇子でぽんぽんと軽く、僕の手のひらを叩きました。


 ぱあっと、店内に光があふれ返り……消えた後には、僕の手の中に……何故か『髪留め』がありました。紅葉柄で、シンプルなひとつのものが。



「……こ、れは」


「君の『心の欠片』」


「心?」


「人間の魂の一部。あ、寿命を削ったりするものじゃないからね? あやかしからも出るけど……『心の欠片』は、僕らあやかしにとって希少価値の高いものなんだ。特に、澄んだ心の持ち主ほど高いけど……まあ、低いのもそれなりの価値はある。賢也君だとしたらどっこいどっこい?」


「なんでやねん!?」



 いつのまにか、賢也君が来ていましたが……颯太君にツッコミを入れるのは忘れていませんでした。



「あれー? どこから聞いてたー?」


「店が光った時からや!? 真昼間から何しとん!!」


「大丈夫〜。僕と直接関わっている人間とかじゃなきゃ見えないからー」


「…………」



 安心したのか、颯太君の隣に腰掛けると……僕の手の中のものを見て、目を丸くしました。



「……そのヘアピン」


「これが、柊司(しゅうじ)君の心の欠片」



 颯太君がヘアピンを手に取ると……それは、形がなくなって綺麗なシャボン玉のように変化しました。



「「……シャボン玉??」」


「人間にはそう見えているだろうね? これが、僕らには糧にもなるし、金銭の取り引き材料にもなるんだー」


「んじゃ、換金場所でもあんのか?」


「そうそう。夏に行ったお祭り会場……あの近くにもあるんだー」


「ほーん?」


「……そうなんですね」



 あのヘアピンが消えて……少しほっと出来ましたが。


 あれは……僕の今の部屋にもある、姉の形見です。


 それが奪われたわけではないのに……いくらか、ほっとしてしまいました。


 まだまだ……喪失感と言うのは埋められないのですね。


次回は45分〜

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