第3話『まろやかなカフェモカ』
お待たせ致しましたー
パシャ……パシャ。
店内には、コーヒーの良い香りと……カメラの機械音が響きます。少し、異質なコントラストですが不快には感じません。
僕は僕で、笹木さんご所望のカフェモカを淹れるだけです。
いつももですが、今回は雑誌に載ると言うことなので……より一層、丁寧にコーヒーを淹れていくのみですよ。
少し大型の電動ミルから必要な分のコーヒー豆を挽く。コンビニなどでも、焙煎済みのコーヒー豆をストックしておく電動マシンがあるように……こう言う機材も存在しているのです。
それをエスプレッソマシーンの器具に入れ……コーヒーを抽出。
テイクアウトではありませんので、笹木さんに今日改めてお会いした時の印象を踏まえ……深い青色のコーヒーカップとソーサーのセットを使います。
チョコソースを入れ、スチームミルクも手順通りに作り……笹木さんが専用のカメラで僕の作業風景を写真に収めているうちに、出来上がりました。
「お待たせ致しました、カフェモカにございます」
「わあ! 綺麗ですね!」
「恐縮です」
カップのお陰もあるでしょうが、夜空のように見える青のカップに白いミルクの泡。仕上げに少しのココアパウダー……自画自賛になりますが、うまく淹れられたと思います。
笹木さんは、何度か写真を色んな角度で撮ってから……僕に、飲んでいいか尋ねてきました。僕は『どうぞ』と言いましたとも。
「! チョコソースの甘みだけのはずが、とてもまろやかですね?」
「そこはミルク……牛乳の甘みもあります」
いくつか、乳製品の業者をあたったくらい……コーヒー豆もですが、牛乳にもこだわりがあるのです。交渉などは、ほとんどが賢也君がしてくださいましたが……最終的に決めたのは僕です。
味は……こだわりたかったので。
「……美味しい。これは、前評判に聞いていたのも頷けます」
「双樹を前から?」
「はい。あのイベントで出店される情報を知る前から……この駅近くに、店長さんと可愛い赤ちゃんがいるコーヒーショップがあると。コーヒーもとても美味しくて、リピートが絶えないとも聞いていました」
「……そうですか」
まだまだ経験不足なところは多いですが、コーヒーの味を広めてくださったお客さん達には感謝です。
「オーナーさんからは、店長さんが切り盛りしやすいように……と伺っていますが」
「下手に人員を増やす必要は……まだ開店も一年経っていませんし、様子見の所もあります」
僕が、鬱患者というのは……外聞がよろしくないので、下手なことは言えません。
なんだかんだで、精神の疾患者は特に風当たりが強いですから。
「え!? まだ一年もない? 以前はどこかでお勤めでも?」
「いえ。独学以外は、家族がこだわりのある人間だったので……」
「……そうなんですね。素敵です」
「……ありがとうございます」
もう今はいない、家族の方を……ほぼ初対面の方からでも、お褒めの言葉をいただけるのは嬉しいです。
次回は17時15分〜




