第3話『ワンコイン駅そば』②
お待たせ致しましたー
あちこちから、ツルツル……ズルズル、と言うお蕎麦やうどんを啜る音が聞こえてくるのがきっかけになったのか。
僕もですが……賢也君や颯太君も、一切周囲を気にせずに……お蕎麦を啜っていきます!!
啜ることで、お蕎麦の香りに食感。さらに、おつゆとの絡み方が絶妙で……おつゆは関東に近い濃いめだったため、流石に飲み干せられませんでしたが……完食まで数分もかかりませんでしたよ。
僕らが息を吐くのは、ほぼ同時でした。
「美味しかった〜!!」
「せやな。駅そば……久しぶりやけど、こっち来てからは初めてやし」
「……あなどってはいけませんね?」
さすがは、お蕎麦大国。
長野……信州に来て、お蕎麦を食べなくてはなんとやら……とも聞きますが。
東京の江戸っ子お蕎麦ともまた違うでしょう。信州はとても広いので、地域ごとにお蕎麦の種類が多いのも魅力的です。
沙羅ちゃんのお食事事情が……もう少し、改善されれば、是非ともあちこち行きたいものです。
「は〜……美味しかったぁ! 僕、気に入っちゃった!」
「唐揚げぽいもんやけど、いけるなあ? 揚げもんやと天ぷら以外に蕎麦にならコロッケは有名やけど」
「え……美味しいの?」
「おいちーよ?」
答えてくれたのは、颯太君の逆隣に座っていた……小学生くらいの女の子でした。仮装は、何故かキョンシーでしたが。
器は手すりに置いていましたが……たしかに、コロッケ入りのうどんを食べていましたよ?
「……美味しい?」
颯太君が不思議そうに聞くと、女の子は『うん!』と強く首を縦に振りました。
「おいちー! お兄ちゃん、何食べたのー?」
「僕? 僕は……あの山賊焼って言うの」
「そうなんだー」
ミイラ男とキョンシーと言う異色な組み合わせですが……見ていてほのぼのしますね?
「あ、あら。ごめんなさい!」
お母さんらしき女性が、女の子の隣に来られると……食事中におしゃべりはあんまり良くないよ、と軽く注意されました。たしかに……女の子のお口周りは、おつゆとコロッケの衣で少々よろしくない感じです。
颯太君は気にしてないからと、手をひらひらと振りました。
「けど……そっかぁ。コロッケをめん類」
あ、これは……と、なんとなく颯太君の言いたいことがわかりました。きっと、次の機会かどこかで僕に作って欲しいと言うことなのでしょう。僕も、別に嫌ではないですが。
「う、うー!」
「あ! 赤ちゃん!?」
きちんと食べ終えた女の子は、沙羅ちゃんに気づくと……ゆっくり近づいて、『ばあ!』と笑わそうとしてくださいました。
沙羅ちゃんは、意味がわからないと言う具合にきょとんとしてしまいましたが。
「う?」
「あれー? いないいないばあ!!」
「……うー?」
「笑わないねぇ?」
仕方ありません、沙羅ちゃんは普通の赤ちゃんじゃありませんから。
女の子は、そのあとすぐにお母さんと食器を片付けて行ってしまいましたが……『お兄ちゃんバイバイ!』と元気にさよならの挨拶をしてくれました。
次回は45分〜




