第2話 柊司のために①
お待たせ致しましたー
そこから……柊司は心身共に疲弊していったんや。
柊司らの両親も、その前の年に登山事故でどっちも帰らぬもんになってしまったから……実質、柊司が唯一人残されたことになった。
だから、身寄りが無くなったことで……会社にも自主退職で辞めて、ガチで引きこもりになったんや。最初の数ヶ月は、俺もそっとしとこうと決めたんやけど……一年、二年と……一切外に出ようとしない柊司の様子に、流石の俺でも古馴染みだからと色々世話焼いたわ。
料理は柊司の方が上手いけど……俺なりに柊司の家に通って簡単な料理とか作った。話し相手になったりもした。
笑えるようにはなかなか出来んかったが、少しずつ少しずつ……家の中でもあいつが動けるようになってから、俺は通う回数を減らして。
ずっとずっと夢だった、自分の店を持つ夢を叶えるのに……脱サラするために、会社に意欲的に出社してがむしゃらに働いた。
出来れば、その夢に柊司を加わらせたいと思ったんもある。新卒そこそこから再就職しようと思えば出来たかもしれないが……普通の会社とかやと、パワハラとかがまだまだ酷いとこが多い。
家族を立て続けに亡くした柊司が……復帰出来たとしても、繊細な心のままその波に揉まれて生活出来るとは思えんかったからや。
事実、動けるようになった柊司は……自分で病院に行ったようやけど、軽い鬱になってたらしい。鬱は心もやけど、脳に関わる病や。知らん連中も多いが、下手したら酷い発作になりかねない。
だから、少しずつ少しずつ……せめて、普通の生活が出来るように、柊司は静養出来たお陰で。
十年かかったが、今は長野の一角で店を切り盛り出来るようになった。
俺も手伝いはするが、経営面で柊司の力になろう思って接客よりもオーナーで日夜働いている。あと、ちょっと趣味でWeb小説のアマチュア作家もやってて、広告バナーとかのアフィリエイトでいい感じに副収入も出来ていた。
まあ、そんなこんなで……非現実的な存在も加わったりしたが、柊司が元気ならええかとも思ってきた。
それに、赤ん坊にしか見えないケサランパサランの沙羅はめちゃくちゃ可愛い!!
俺はたまらず、ベビー用品専門店で服とかおもちゃを頻繁に購入するくらい!!
「よーしよし、沙羅〜?」
柊司が俺のまかないを作ってくれてる間に、ちょっと抱っこすれば……柊司程やないけど『あーう』とか言いながら笑ってくれた。あの胡散臭い座敷童子の颯太が言うように、主人と認めた柊司の方がええんやろなあ?
「あーう」
んで、時間経つと……いやいやとか軽くみじろぎすんねん。嫌われてはいないとは思うが、やっぱり柊司の方がええんか??
あと、俺……ちょぉ、顔怖いからか?
自覚あるんやけど……柊司よりいかついからなあ?
「はいはーい。賢也君お待たせしました。特製オムハヤシですよ?」
「おお!」
ほんま、イツねーちゃんに似て料理は素人やったけど、美味いんやよなあ?
食品衛生管理者の資格は俺持ちやけど、柊司もこっち来てから近いうちに調理師の資格取るつもりらしい。
俺の尽力が……って、だけやないけど。沙羅が来てから、前以上に笑顔になってくれて良かったわ。
次回はまた明日〜




