第4話
「大体、こんなにとびっきり可愛い女の子が今目の前にいるのにそれで全く惚れないなんて、一翔くんマジでありえないんだけど!? むぅ~!」
「目の前にとびっきり可愛い女の子? どこだ? どこにそんなのがいる?」
「ちょっと喧嘩売ってる!? それ本気で言ってるの!?」
「あぁ、本気だ」
「なっ!? 嘘でしょ!?」
私は好きな人である一翔くんに全く振り向いてもらえないことにプンスカと怒り心頭になり、どうにかして振り向かせようと可愛い女の子である自分が今目の前にいることを堂々とアピールするも、一翔くんは全くそのことに気付かず、可愛い女の子がどこにいるのかキョロキョロと辺りを見渡していて、それを見ていた私はショックのあまり唖然としていたの……。(もぅ~! 可愛い女の子が私だと気付かないなんて、一翔くんの鈍感!)
「嶺井さんが俺の目の前にとびっきり可愛い女の子が今いるって言うから一応辺りをくまなく探したけど、とびっきり可愛い女の子なんてどこにもいなかったぞ?」
「むぅ~……、それもはやわざと言ってるでしょ……? ほらちゃんとよく見なさい。よ~く見てたら、とびっきり可愛い女の子がきっと物凄く近くにいることが分かるはずだよ♪ ねっ♡」
「そうなのか? なら改めてよく見てみることにしよう」
「うんうん♪ よ~く見てごらん♪」
そして一翔くんから辺りをくまなく探したけど、とびっきり可愛い女の子はどこにもいなかったと言われ、それを聞いて私はとてもムカつき、改めてちゃんとよく見てほしいことを一翔くんに伝えたの。
キョロキョロ……。
(ムカッ……! ま~た辺りをキョロキョロ見回してるし……。一翔くん、やっぱり私に喧嘩売ってるでしょ……)
ジ~……。
「なっ……、何よ……? そんなにジロジロと見て……。ちょっと恥ずかしいじゃない……」
「ふむふむ……。なるほどなるほど……」
「なっ……、何がなるほどなのよ……?」
「確かに嶺井さんの言う通り、目の前にとびっきり可愛い女の子がいるのが分かりましたね」
「ほっ、本当に!?」
(やった~☆! これでやっと一翔くんに気付いてもらえる♪)
そして一翔くんは再びキョロキョロと辺りを見渡し、今度はちゃんととびっきり可愛い女の子が目の前にいることに気付いてくれて、私はとっても嬉しかったの♪
「そっ……、それって……、誰のことかな……?」
「フッ……。それはもちろん、やっぱりラキネちゃんですね!」
「はっ……? はああああぁぁぁぁ~~っ!?」
そして私はドキドキしながら、そのとびっきり可愛い女の子が誰のことか目をキラキラと輝かせ期待の眼差しを向けて聞いてみたんだけど、一翔くんから告げられたのはまさかのラキネちゃんで、それを聞いた私はショックのあまり今にも発狂しそうな気持ちだったの。
「何でそうなっちゃうのよ!? 大体、ラキネちゃんはアニメキャラの女の子だし、そもそも目の前にいないでしょ!?」
「何を言う! ちゃんと目の前にいるだろうが。ほら」
「うっ……! 確かにそうだけど……、そういうことを言ってるんじゃないの!」
そして私はそもそも根本的なこととして、目の前にラキネちゃんがいないことを一翔くんに話したの。すると一翔くんはクリアファイルを私に見せ、そのクリアファイルの絵柄がラキネちゃんであることを明かしたの。つまり目の前にラキネちゃんがいることが分かったんだけど、私はそういうことを言ってるんじゃないと一翔くんにプンスカと怒ったの。