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絡繰異聞・前日譚  作者: 和条門 尚樹
堕天使の章
8/30

順調ではない実験

 くらっと、目が回った。いわゆる立ちくらみというやつだ。

 実験の経過で、()けては通れない有害事象だと、知っている。段々立ちくらみの頻度(ひんど)が増えて、記憶(きおく)曖昧(あいまい)になって、身体が動かせなくなって、ついに永の(ねむ)りについたのかと思えば、何故(なぜ)素体(そたい)の中で、すっきりと目が覚める。他の被験者(ひけんしゃ)は、そうだったという。

 頭には、脳の活動を記録するらしい機械が装着されている。周囲からのノイズをなるべく拾わないように、機械は被験者(ひけんしゃ)の脳に近い場所にあるのが望ましいらしい。見た目は、少しゴツいヘルメットだ。

 これを(かぶ)るようになってから、(すで)に……すでに?

 自分は、どれだけこれを身につけているのだろうか?

 ……(すで)に、記憶(きおく)曖昧(あいまい)になってきているらしい。背筋がぞわぞわと(ふる)えるのを、気力で(かく)す。

 だって、今日は、天音(あまね)にぃが来ている。実験経過を確認(かくにん)するために、幸崎(こうざき)博士として来ているのは間違(まちが)いない。けれどせっかく久々に会っているのだから、余計なことに気を取られてほしくない。

 幸崎(こうざき)博士の指示に従って、定められた制御(せいぎょ)装置に(すわ)り、素体(そたい)に接続して、動かすよう意識してみる。

 身体が動かせなくなるのと反比例するように、素体(そたい)を動かせるようになっていくのが通常、らしい。自分の場合は、今までになかった装置である(つばさ)邪魔(じゃま)をしているのか、なかなか自力で動かせるようにはなっていない。(つばさ)に限らず、素体(そたい)の全身そのものも。

 幸崎(こうざき)博士が何か、指示を出している、気がする。でも、おかしいな? 聞こえているはずなのに、何を言っているのかわからないよ。

 あれ、アマネにぃがリオンのもとに走ってきている。何かあったのかな。

 ……あ、上の上に、カケルにぃとシオンがいる。リオンのこと、こっちにおいでって、呼んでる。行かなきゃ。

 オニーサン、(はな)してよ。シオンが呼んでるんだよ。

 上の上は、きっと広くて……。


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