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絡繰異聞・前日譚  作者: 和条門 尚樹
堕天使の章
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不穏な空気

 今日はキラキラ、あんまりお金にならなかったな。このお金だったら、ええと、うん。やっぱり、シオンのお薬の、三回分にしかならないや。

 シオン、ゼーゼーしてるから、もっとお薬がほしいのにな。

「ふむ。飛行場周囲のスラム、スクラップ場に()むアルビノの双子(ふたご)璃音(りおん)とは君のことだね?」

 変な格好(かっこう)のオジサンが、キラキラをお金にしてくれるところで、出口を邪魔(じゃま)していた。リオンに何か言っているようにも聞こえるけど、でも何を言っているのか、わからないや。

 そんなことより、シオンのお薬、買いに行かないと。

璃音(りおん)君?」

 いきなりリオンの布を強く引っ張られて、痛いし、こけるし、もっと痛いし、(なみだ)出そう。でも声を出したら()られてさらに痛いから、じっとする。

詩音(しおん)ちゃんの薬が()しくないのかな?」

 リオンのまとっている布を、ぐいぐいと取り上げながら、オジサンはまた、何か言った。今度はちゃんと、わかる言葉だった。

「シオンのお薬?」

「そう、詩音(しおん)ちゃんの薬に必要なお金、()しいんだろう?」

 それは、ほしい。シオン。

「そのためには、璃音(りおん)君の力が必要なのさ」

「リオンの、力?」

 ゾクゾクするくらい、あやしい。カケルにぃは、なにかあやしいこととか、変なことがあったら、言ってねって言ってたけど。

「ちょっとした実験に付き合ってくれれば、それでいい。そんなに悪い話でもない。実験で、その体質も改善されるだろうしな」

 ジッケンという言葉はわからないけれど、オジサンの顔つきがイヤらしいから、ろくでもないことなんだろうなと思った。でも。

「リオンがジッケンにつきあったら、シオンは助かる?」

詩音(しおん)ちゃんの薬代なら、出してあげようじゃないか。さあ、来るか来ないか、今ここで決めてもらおうか」

 オジサンはお金をいっぱい(ふくろ)()めて、リオンに見せてくれた。

 どうしよう、カケルにぃ。どうしよう、シオン。

 リオンは、どうしたらいい?

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