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Page.3 人気店の商品の秘密?


 そして出発日当日、簡単な顔合わせをしてから出発となったが



「ぐへぇ…」

「うちのバカが失礼いたしました…グレインさん」

「やんちゃな男の子ね、レディへの気遣いがなっちゃいないわね」

「グレインさん、申し訳ありません。私たちからきつく言っておくので…」

「あらやぁねぇ、怒っちゃいないわよ。おっちゃん呼びなんてまだ可愛いものよ」



案の定うちのアホリーダーはグレインさんをおっちゃん呼び

強力なストレートをもらっていた。あの右は世界を狙える…

フランクなのはいいところだけど、軽すぎるのはいずれ何とかしないと…



「さてと…じゃあ早速出発しちゃいましょうか」

「あれ、グレインさん俺たちだけで出発ですか?」

「そうよ?なぁに?アタシが大商人だからって無警戒だとでも思ったの?

生意気坊屋のくせに意外としっかりしてるじゃないの。

でも安心なさい、いつもは護衛もつけないもの、ただ今回はちょっと特別な理由があってねぇ?」

「特別な理由…ですか」

「まあそこは追々説明するわ」



門を抜けてから港町アリアクムに向かう道中今回の依頼の主要な部分を聞かされた

なんでもいつもはグレインさんの強さという理由もあるが、

輸送コストを鑑みて身内の2、3人で行商に向かっているらしい

ただ今回に関しては店の人たちにバジリスクが付近に出没したとの話から冒険者を雇ったほうがいいと根負けしたらしい、それでもグレインさんは必要ないといったらしいが…

依頼を出したのもポーズだけでハンターが受けたとしても難癖付けて追い返すつもりだったらしい



「でもねぇ…何やら面白そうな坊やが来るみたいだしぃ?

それにアタシ中途半端って嫌いなのよねぇ、あの時の襲撃者のことも気になるし」

「襲撃者?」

「あら、レインちゃんお仲間に話してないの?」

「あ…いや、そのぉ…」

「こいつはまた…」



違うんだよ、別に話す気がないとかそういうんじゃなくて気を使ってというか

狙いは僕だったみたいだし態々二人に心配かけるのも違うかなぁーって



「凄い慌ててるのはわかるけど声出てないぞ」

「いつものことですが君はもう少し私たちを頼ってもいいと思いますよ」

「一昨日ねーこの子が襲われてたのよ、

魔法を見込まれて狙われてみたいなんだけど今までそういうことはあったの?」

「いや、レインが狙われるのは初めてじゃねぇかな」

「そうですね、心器を狙って…という訳でもなさそうですし突発的なものでしょう

私たちの中で方々に喧嘩売って恨み抱えてるのはイルですしね」

「あら、やっぱりやんちゃなのねぇ。ふーん、なんならどう?アタシと戦ってみる?」

「………やめておく、あんたとやりあって勝てると思うほど思い上がってねぇ」

「冷静ね、気が変わったら教えて頂戴。簡単な手解き位ならしてあげるわ」




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




旅路は思ったよりも平和で、懸念していた再襲撃もなさそうだった

僕たちは無事帝都とアリアクムの中間地点であるヴォルフォイ山の麓の宿場町まで来ていた



「さて、出発前にも説明したけど明日からはちょっと寄り道するわよ」

「山登りですよね?」

「そうね、山には登るけど越えはしないわよ、アリアクムにはちゃんと南東からのルートで行くわ」

「材料集めですか?」

「イケメン君鋭いわね、そうよ今度試作する商品の材料集めに付き合ってもらうわ

護衛依頼にプラスだからね、その分報酬も弾んだげるわ

詳しいことはまた明日の朝話すわ、出発は午後になるからね」

「ま、タダ働きじゃないなら文句ねーし、そういうことなら俺は先に寝るからな」

「「お休み」」

「まあパーティー組んでるから当然なんだろうけど仲いいのねあなたたち」



まあ言って数年の付き合いだし、それでも何もなかったわけじゃない

それでも3人でやってるのはそういうことなんだろう



「アタシも寝るわ、夜更かしは美容の大敵なのよ、あなたたちも程々にね」

「「おやすみなさい」」



グレインさんは自分の部屋へと戻っていった、

どうやらだてに帝都一の服飾店の店長をしてないらしく4人部屋を2部屋取っていた

4人部屋を1人で使うのは流石に豪勢が過ぎないかと思ったが、

曰くこういう時に使わないと金が減らず余計なものを招くらしい



「僕は少し魔術書作るけど、ヴィアはどうする?邪魔なら明かり小さくするけど」

「いや、私も丸薬を何個か作っておきたい。

グレインさんの目的地はヴォルフォイの中腹までらしいから、

最悪の場合を考えて強精回復丸くらいはね」

「願わくば使わないことを祈りたいけどね…あれ副作用凄いんだから…」

「違いないですね。ああ、魔術書作るならついでにいつもの拡散と滞留のやつお願いできますか?」

「それこの前30枚くらい渡さなかったっけ」



それこそしばらくは補充しなくても大丈夫なように渡したはずだけど…

色んなポーションと組み合わせて使えるし消耗品なのはわかるけど?



「…出発前に少し小遣い稼ぎをしまして」

「もしかして下水道の浄化依頼でもやった?」

「分け前は4割ほど渡すので…!!」

「はぁ…レイもだけどヴィアもそこそこやらかすよね。

っていうかこの程度の魔術書は自分で作れるんじゃない?

ヴィアのが制御メインでは僕より上でしょ」

「うーん…魔法書の方なら話は別ですけど、

即効性や費用対効果がレインの作った奴の方がいいんですよね」



そんなに差はないと思うんだけど

ヴィアはちょっとしためんどくさいことから逃げる癖さえなければなぁ…


そしてお互いに黙々とたまに雑談を挟みながら作業を続け、そして夜は更けていった




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「さて、あんたたち行くわよ!」

「「「はい!!!」」」



朝ご飯も食べ、僕たち4人はヴォルフォイ山に登り始めた

グレインさんによるとヴィヴィアンはその商品ほとんどに魔物の素材を使っているとのことだ

武器防具ならいざ知らず、服飾にそこまで魔物の素材を使うのは珍しいといえる。

なぜなら魔物の素材は加工が難しい、これに尽きる。

例えばドレスなどで高級品ともいわれる部類、これに使われる生地のもととなる糸でさえ蜘蛛の近縁種の糸だ。魔物の素材となれば粗雑に扱えば服としては肌を隠す機能でしかなくなる。

だけどヴィヴィアンは帝都でも有数の人気店だ。丈夫で、しかし品がある。

なるほど、商品のランクが軒並み高いわけだ…

だけど魔物の素材を扱う店はほかにも無いわけじゃない…とするとヴィヴィアンがそこから突出してる理由、加工する時点で何らかのカラクリがあるはずだ



「さて、ここが目的地よ」

「グレインさん、失礼ですがここってストーンスネークの…」

「そ、巣穴よ」

「はぁ?!グレインネエさんあんたの店服飾店だろ?岩蛇なんかなにに使うんだよ…」

「あら、やっぱり気になる?でもほかの人には秘密よ?

ストーンスネークにはある習性があるのよ、特に雌が顕著ね。

あいつらはね、繁殖期に近づくとより多くの番を集めるために体に文字通り磨きをかけるのよ、加工するには丈夫なストーンスネークの体…それが研磨されて素晴らしい光沢を放つの。

もちろん繁殖期以外の素材を人力で研磨できなくはないわ、

でもねぇ…やはり天然には敵わないわね、人力の研磨ではどうしても劣るのよ」



なるほど…ストーンスネークはストーンと銘打ってるがその肉体は岩だけにとどまらない、

その実様々な鉱物の種類がいて、それらすべてを総称してストーンスネークと呼んでいる。

だから希少な鉱物で構成されているストーンスネークはそれこそ高値で取引される、

直近ではAランクハンター率いるパーティがエメラルドのストーンスネークを狩ったという



「なるほど、そんな習性があったんですね。でも繁殖期のストーンスネークって確か…」

「滅多に姿を見せなくなる。しかしひとたび見つかり敵対行動をとられると苛烈に暴れる…

なるほど、子育てかそれに近い理由でかと思いましたが…

恐らく主な理由はその習性の方、肉体に傷がつくことを極端に嫌うためでしたか」

「あたりよ、イケメン君やっぱりあなたいいわね、賢い子は好きよ。

そう、手を出せばその暴虐は竜のごとく…は言い過ぎかしらね。

でもどのみち油断はできないわよ、魔物の中では比較的低ランクのEだけど繁殖期であるならプラス2段階は見ておきなさい」

「「「はい!!!」」」

「気合十分ね、じゃ行くわよ…足引っ張ったらアタシの店で女装店番よ!!」

「「「な…なにぃ?!」」」



かくして僕たちの男の尊厳をかけた戦いが始まろうとしていた

絶対に女装はしないからな!!!



暗がりの中に蠢く蛇に挑む4人

繁殖期のやつらはとても凶暴だぞ

果たして3人組の尊厳は守られるのか?


次回、Page.4 蠢く音

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