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ダブり集

巡る思い

作者: 神村 律子

 私は裕福な家庭に生まれ、「お嬢様」とメイドや執事に言われる生活をしていた。


 学校も幼稚舎から始まる私立の有名校に入学した。


 自分で言うのも可笑しなものだが、成績は常に学年一番、クラブ活動にも積極的に参加し、都大会、全国大会と勝ち進んだ。


 当然のことながら、就職は父親の経営する商社に入社、コネで入ったと言われるのが嫌なので周囲の気遣いを一切排除し、一営業から始めた。


 生来の社交性と積極性から、私は常に社内で営業成績トップの座を守り続けた。


 女のくせにと陰口を叩かれる事もあった。


 しかしそれをさらに飛躍のバネにして、組織の上へと昇った。


 気がついてみると営業一課の課長になっていた。20代での課長就任は破格だった。


 そのため、「コネだ」と囁かれた。悔しかったが気にせず仕事に打ち込んだ。


 その甲斐もあって、今まで私に批判的だった人達とも和解し、課はまとまった。


 そんな仕事一筋の私だったが、ある時燃えるような恋をした。


 人事部の人だった。


 今まで恋愛に全く興味がなかった私が、自分でも不思議なくらいのめり込んで行った。


 相手も私の積極さに最初は戸惑っていたが、やがて私達は結婚を意識する仲になった。


 私は父に彼を紹介し、父も彼を気に入ってくれた。


 式の日取り、新居の建築と次々に決まった。幸せだった。信じられないくらい。


 ???


 私は何故幼少の頃からの事をこんなにいろいろと思い出しているのだろう?


 昨日、確か彼の浮気が発覚し、相手の女性が妊娠していると知って・・・。


 思い出した。私は何もかも嫌になって会社の屋上から飛び降りたのだ。


 ああ、地面が迫って来る・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] 走馬燈ですね。 似たようなシチュエーションの掌編を僕も書いたので、何となく嬉しかったです。 自殺される方の気持ちを本当に理解することはできませんが、少しでもそういう方の気持ちを小説で癒せれば…
2010/11/30 23:14 退会済み
管理
[一言] 淡々と書かれているのに惹かれてしまう文章でした。最後の意外な終わり方もとても良かったです。次作品も期待しています。
2009/06/24 11:52 退会済み
管理
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