円卓の間
今回は短いです。申し訳ないです。
GW内某所
「全ては「 」を手に入れる為」
壁一面が漆黒に塗られた扉も窓も無い部屋で一人、ナチス軍を思わせるような軍服を着た女性が呟く。
部屋の中央には装飾の施された豪華な円卓が備え付けられている。その円卓を囲う様に背もたれの高い椅子が十脚、等間隔に並べられている。その内の一つに女性は座っており、円卓に肘を乗せ手を合わせるように組む。その姿は軍服と言う衣装のせいかオーラを感じさせる。軍帽を目深に被っている為表情はわからない。ただ、軍帽からのぞかせる口元は酷く不気味な笑みを浮かべていた。
そこへ一人の全身黒ずくめの男性が何処からともなく現れた。
「あら、あなたがここへ来るなんて珍しいわね」
目深に被っていた軍帽を脱ぎ椅子から腰を上げて敬意表す女性。見せた容姿はとてもこの世の物とは思えぬ程の美貌だった。ただ、どこか冷めた様な・・・何かに絶望しているかのように、瞳に影を落としている。そんな印象を受ける虚ろな表情だ。
「ふっ・・・・時が来たのであろう?」
女性が敬意を表していると言うのに手をひらひらとさせ「そんな態度をとるな」と言わんばかりの態度を見せる黒ずくめの男性。しかし表情は「期待」「待望」の色が窺える程嬉々とした笑みを浮かべている。
「えぇ・・・。彼が世界に降り立った。「時代は動く」と言う予言通りなら全てはあの町から始まる」
「相変わらずお前は美しいがその表情はどうにかならんか?・・・・「あの町」か予言で言う「起点の町」だな」
「さあね。始まれば今後次第ではあなたの希望に沿える表情になるかもね」
「くくくっ。確かに否が応でも変わるだろうな。さて、他の者達は動き出したのか?そして我らが主は・・・?」
「一番はサボってどうせ何処かで昼寝でもしているでしょう残りは目覚めて待機しているわ。・・・・主は・・・ね?」
「あの阿呆は相変わらずのサボり魔かガハハハッ。主は・・・あぁそうかまだ覚醒には至っていないか。遅ければ奴が・・・どちらが早いか・・・」
「・・・主が遅ければ私達が時間を稼ぐか強制して目覚めさせるかしないと・・・」
「まあ、そんなに気張るな月よ」
「ふっ。あなたに言われるとはね削除」