最強ショートショート
「俺の炎は全てを焼き尽くす! 誰も俺を止めることはできないぜ!」
男は高笑いをしながら、目に見えるものを手当たりしだいに燃やしていく。
村人はただただ逃げることしかできない。
「や…やめろ… 僕たちの村から出てけ!」
男の腰ほどの背丈しかない少年が包丁を構えて震えながら立ちふさがる。
「なにやってるの!? 早く逃げなさい!」
少年の母がすぐさまかけより少年を抱きかかえて逃げようとする。
しかし、少年は動こうとしない。
「なんだあ? これは立派な戦士だあ、死ねぇ!」
男はすぐに手を少年の方へ向けて親子もろとも燃やそうと炎を出した。
直後、黒いマントを着た男が少年と炎の間に入る。
黒いマントの男はマントを盾代わりに炎を遮っていた。
「えぇ!? まじかよ…」
マントの男はちょっと困惑した声を出してからマントをそのまま捨て、親子を炎の射線上から蹴飛ばす。
炎を出していた男は何事かと炎を止めた。
「誰だ? お前?」
「特に名乗るほどの名もないさ、それよりお前さ…」
元マントの男は呆れた口調で炎を出していた男に言う。
「それ、炎じゃないじゃん… この炎耐性のマント高かったのに…」
「お前… 一目で…」
炎を出していた男は自分の能力を瞬時に看破されたのか驚いている。
「炎の術式は貴重だから、いいもの見れると思ったんだけどな… おおかた、閃光か熱術ってところだろ?」
「ハハハハハ、よくぞ見抜いたな! だが、それが分かったところでお前が燃え尽きる運命に変わりはないがな!」
男は手を男に向けて炎を出す。
「閃光だろうが熱術だろうが見飽きたんだよ… じゃあな」
元マントの男はそう言うと向けられている炎と同じ術を対抗でぶつけ、無効化したのち、そのまま手足を凍らせ無力化した。
「あとは面倒くさいから任すわ…」
蹴飛ばした少年に一言言ってから元マントの男はその場を立ち去った。