1.プロローグ~馬車と枷と回想~
特に序盤は部分は流血描写・残酷描写・非人道的描写に加え、特に女性には見ていられないような描写を含む恐れがあります。
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それでもいいという方は、お付き合いください。
異世界に転生する話は、とてもありふれていたと思う。
死んで生まれ変わるところから始まって、前世の記憶を生かして、様々な人に一目おかれるようになる。
そしてその知識があるから、貧民に生まれたとしても、平民に生まれたとしても、貧乏貴族の家に生まれたとしても、まして大貴族の家に生まれなんてしたなら、幼子のうちはイージーモードであることが多いのではないだろうか。
仮にハードモードだったとしても、自分の体は持っているのが大半だと思う。
残念ながらと言うべきか、僕……いや、わたしは何故か自分専用の体を持っていない。
だから今は、取り憑いた女の子の体を使わせてもらっている。元男としては、女の子の体を使うのは、とても複雑だったけれど、今ではすっかり慣れてしまった。身体に慣れると同時に、都合上女性を演じていたこともあって、考え方も中性的になってきたと思う。精神は身体に引っ張られるのかもしれない。
10歳でまだ子供なので、特別性差が大きいわけでもないけれど、たぶん今後彼女が大人になっても、生前ほど意識はしないと思う。
ただ、美少女なので、性別関係なく見惚れてはしまうだろう。
よく見ているわたしでさえ、何度見ても、可愛いな、と思うし。
閑話休題。
何故こんな話をし始めたのかと言えば、この子の境遇に問題があったからだ。具体的には、一歩間違えれば、物心つく前に死んでしまう、いや、生まれてすぐに死んでしまったのではないかと思うくらいに。
だけれど、それも今日でおしまい。
揺れが激しいご機嫌な馬車の中、壊れた枷がガチャガチャ鳴るのを伴奏に、"歌”でも歌いながら、この10年間を振り返ってみるとしよう。