名前を知った日
ねぇ、好きです
でも貴方との距離は遠すぎる
ねぇ、先輩、貴方の名前を呼んでいいですか?
今日から高校生。
皺一つないシャツを着て緑色のブレザーを羽織って
電車に駆け込む。
その時、私より少し遅れてドアが閉まるギリギリに
駆け込んだ一人の男子が目に入った。
彼の服装を見れば同じ高校の人で、でも靴や鞄の
汚れ具合を見ると先輩だと思う。
身長は随分高くて、身長153cmの私からすれば
真上を見上げなければいけないほどの身長で
イヤホンをつけてスマホをいじる姿を見てかっこいいな、なんて思ってみたり。
先輩と私は、満員電車の中ピッタリくっついていて
考え始めたら顔が赤くなってきた。
そんな時、たまたま先輩と目があって
今までで最速じゃないかってくらいの速さで
目をそらした。
変なやつって思われたかな?
どーしよって考えてたら
「ねぇねぇ」
なんて小声で言ってくるもんだから
心臓が止まるくらい嬉しくて
「同じ学校だよね?1年生?」
って聞かれたから恥ずかしすぎて声は出なくて
首を降るので精一杯だった。
「そっか。俺、3年の馬村亜嵐。よろしく」
「よ、よろしくおねがいします」
って二人で小声で話してたら馬村先輩が急に
笑ってきて
「なんか、面白いね」
なんて言ってきて、私はますます顔が赤くなって
「そう、、ですね」
って下を向いてさっきよりも小さい声で言葉を返した。
「あ、次だ。」
って先輩が言って電車の電光掲示板を見ると
確かに高校の最寄り駅で、もう先輩と離れるのかと
少し落ち込んだ。
程なくして電車が駅につくと同じ制服の人達が
溢れるように電車から降りる。
改札まではなんとか先輩についていってたけど
改札を抜けると先輩の友達と思われる人が
「おーい!あらーん!」
なんて呼んでいて、私もいつか先輩の下の名前を呼び捨てにできたらなと思いながら
先輩のあとを追い、Suicaをかざした。
そのまま、先輩は行ってしまうかと思ったら
「じゃあ、また明日ね。ばいばい」
なんて小さく手を振るから
私も手を振り返して、嬉しい気持ちで心が満たされていった。
「わたし、先輩に恋したかな?」
なんて一人で言葉をこぼした。






