部活動 5-4.5
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
丸美家でのバイト初日ですが、すでに脱線し始めています。
ではでは~
「ちょ、お姉ちゃん!」
「ほらほらぁ、ひよりちゃんってば、かわいいでしょ」
丸美音奈には、仕掛け人が誰なのかすぐにわかった。
「橘! あんたまで、なんで着てるのよ!」
「え? だって、清音姉ぇが、これだったら、先輩も気に入るっていうから」
「音姉ぇ、ひよりちゃん、かわいいでしょう?」
「それは、そうだけど。・・・じゃない!」
橘ひよりのお人好しさ、妹のひよりの査定に思わず同意してしまう。
「丸美さんちって、みんな仲がいいから、羨ましいよ」
「ちょ、先輩まで、そんなこと言わないでよ」
鉄臣君、丸美音奈に叱られる。
「ごめん。つい」
鉄臣君、まったくもって女の子に弱い。
「先輩、ボク、似合ってませんか!」
鉄臣君の感想を聞きそびれてる橘ひよりが、しびれを切らして切れた。
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橘ひよりは、色が白い。
髪は、ショートでまとめている。
細い首から肩にかけてのラインが華奢な体躯を魅せる。
ミニキュロットとニーソが作り出す絶対領域が橘ひよりの魅力に拍車をかけていた。
「橘さんは、何を着てもよく似合うと思います。丸美さんもだけど、喪部部員って魅力的な人がいっぱいだね」
鉄臣君、一言多かった。
家庭教師のバイト時間は、丸美&橘のファッションショーの観客として消費されることになった。
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「三石さん。せっかくお勉強を見に来てくれたのに、ごめんなさいね」
「ボクが不真面目だったせいです。すみませんでした」
「お夕飯は一緒にいかが?」
「ありがとうございます。でも、今日は先約がありますので、またの機会にさせてください」
鉄臣君、丁寧に辞退した。
「そう、残念だわ。音奈ちゃんが張り切っちゃうと思ったのに」
「ママ!また、そんなこと!」
丸美ママの言葉で赤面する丸美音奈。
しかし、言葉の中身と表情は少しずれていた。
鉄臣君だけがそれに気づかなかった。
= = = = =
「おじゃましました。失礼します」
鉄臣君、丸美家の玄関で靴を履き終えて振り向いて挨拶をする。
「土曜日と言わず、いつでも来ていただいてもかまいませんからね」
「そうそう、音奈ちゃん、照れ屋さんだから言わないだけだよ」
「おにいちゃん、次、来てくれた時は一緒にゲームして」
「ちょ、みんな好き放題言わないでよ」
丸美家は仲がいい。
「おばさま。ボクも帰ります」
丸美音奈の隣で鉄臣君を見送ろうとしていた橘ひよりが突然宣言した。
「え?ひよりちゃんはお夕飯は一緒じゃないの?」
丸美ママの想定が外れた。
「ボクは先輩を駅まで送らないとダメなんです」
ふんすふんすと鼻息荒く張り切る。
「橘さん、俺、駅まで帰れるから、大丈夫だよ」
「ダメです、先輩。帰るまでがバイトです」
鉄臣君、後輩にも押し切られるようになってきた。
橘ひよりも靴を履く。
「じゃあ、おばさま。しつれいします」
「はい。三石さんをお願いね」
「はい、任せてください!」
「ちょ、橘。何言ってるのよ」
「音奈ちゃん、どうするどうする?」
「音姉ぇ、ひよりちゃんだよ。どうするの?」
「もう、なんでもないわよ」
丸美音奈は、真っ赤になって、リビングに飛び込んでいった。
「「「・・・」」」
「じゃあ、来週来ます」
「みなさん、さようなら」
鉄臣君と橘ひよりは別れの挨拶を残して、玄関を出ていった。
「ねえねえ、ママ。どう思う?」
「そうねえ。ひよりちゃんも本気に見えちゃうわね」
「おにいちゃんとひよりちゃんかぁ」
「さあ、夕飯の用意をしましょうか?」
「「はーい」」
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駅までの道を先輩と後輩が並んで歩いていた。
「せーんぱい」
「うん?何?」
「何でもない」
「橘さん、それって、気になるよ」
「えへへー、先輩と一緒だなって」
「あ、そうだ。橘さん、ちょっと教えて貰うと助かるんだけど」
「なんですか?ボク頑張ります」
「ありがとう。あのさぁ、恋人同士って、どんな風に歩くか教えてほしんだけど」
「え!?にゃ、にゃんですか・・・あの、ボクだったら、手を繋いで歩きたいなぁって」
橘さんは、鉄臣君の手をチラチラ見ながら、指先をつつき合う自分の手を見つめる。
「そーかー」
鉄臣君、あんまり納得していなかった。
それを見た橘さんが引っかかる。
「先輩、信じていませんね」
「うーん、そういうわけじゃ、ないんだけど」
手ごたえのない返事。
「じゃあ、先輩はどんな風に歩きたいんですか!」
「ボクには、そんな難しいことは、想像つかないよ」
「想像じゃなくて、先輩が何をしたいかが大事です」
後輩が愛くるしい目で精一杯睨んでくる。
「うーん。難しいなぁ」
「どうしてですか?」
「橘さんは手を繋ぎたいって言ったけどさ。考えたら、俺。しょっちゅう手を繋いで貰ってるくらいだしなぁ。今日だって丸美さんと手を繋いだよ?」
「先輩・・・かっこいいです」
いかがでしたか?
やっぱり、脱線で終わりました。
次話をお待ちください。




