部活動 5-4.4
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
舞台は丸美家に移ります。
ではでは~
(どうしてこうなった!?)
鉄臣君、丸美家のリビングで喫茶することになっていた。
それはいい。
丸美家は、両親が有名な音楽家らしく、丸美音奈もその遺伝子を受け継いでいるうえに本人が気にならない程度に絶対音感を持っているらしい。
本人は、周りから指摘されるまで、それが普通だと思っているきらいがあった。
それもいい。
今、リビングには、鉄臣君、音奈丸美、橘ひより、音奈母、音奈上姉、音奈妹が座っている。
ここからがおかしい。
「あらあら、音奈ちゃん。どうしたの、お勉強は?」
「音奈ぁ、いいなぁ、お姉ちゃんも勉強したぁい」
「お、おにいちゃんって、呼んでいいですか!」
「・・・」
「丸美ィ、勉強始めようよぉ」
「・・・えーと。お姉さんと妹さん?」
「「はい!」」
「あのですね」
「「はい?」」
「ボクの両側に座るの、やめてくれませんか?」
「「えーーーー!!」」
= = = = =
丸美音奈の部屋の中。
橘ひよりの姿はないかった。
「ご、ごめんなさい」
「いや、謝らなくてもいいけど」
「み、見られちゃったみたいで」
「何を?」
「手を繋いでもらったところ」
「て?」
「そうよ。手よ」
「ごめん、それが、さっきのが関係あるの?」
「だって・・・。何でもないわよ!もう!勉強教えなさいよね」
(うわ!切れてるよ)
「あ、ああ。じゃあ、古典からにする?」
「お、お願いします」
「じゃあ、宿題を解きながら、拡げていこうか?」
「は、はい」
= = = = =
「あーん、おねぇちゃーーん。ボク、こんなのもう着ないからぁ」
「ほらほら、似合うからぁ。かな先輩だっけ。きっと気にいると思うんだけどなぁ」
「え?先輩が?」
「そ、そうよ。ひよりは、なんでも着こなすから、かな先輩も見惚れちゃうよ。きっと」
「わたしもそう思うよ。ひよりちゃんは、わたしの憧れでもあるんだもん」
「璃音ちゃん。清音姉ぇ、ほんとにそう思う?」
((ちょろい))
「当たり前じゃない。ほら、着替えて鏡見てみたら?」
「きっと、すごく似合ってるよ」
「もう、仕方ないなぁ。ボク、べんきょうあるんだからね」
「「わーい!!」」
= = = = =
≪コンコン≫
「音奈ちゃん。入るわよ」
「え、ちょ、マ、ママ待って!」
≪カチャ≫
「ごめんなさい」
「もう、待って言ったのにぃー」
「アラアラ、お邪魔しちゃった?」
「そ、しょんなこと、ない・・もん」
丸美音奈は、少し待って欲しかった。
ちょうど、文法の説明を聞くためにひとつの教科書をふたりで覗き込む姿勢だったので非常に近かった。
「ウフフ。音奈ちゃん、まじめに勉強してるのね。ママ、安心」
悪戯っぽくウインクする音奈母だった。
「麦茶飲んでね」
音奈母、テーブルに麦茶を置くとそのまま当然のように座った。
「・・・」
「・・・」
テーブルの麦茶を見つめる丸美音奈を微笑み見守る母。
「・・・」
「どうしたの?遠慮しないで、飲んでね」
「ママ、どうして座ってるの?」
「えーーー、だってぇ。音奈ちゃんのお勉強しているところを見たいんだもん」
「あ、あの、いただきます」
鉄臣君、気まずさに耐えきれなくなり、麦茶に手を伸ばす。
「あなたが、三石さんなのよね?」
「はい」
鉄臣君、音奈母に改まって確認される。
(上がらしてもらうときとリビングで自己紹介したよな。な、何この確認)
「音奈ちゃんから聞いていた感じと違ってて「マ、ママ!な、何言い出すのよ」・あらあら、音奈ちゃん、お行儀が悪いわよ」
「だ、だから、勉強のジャマしないでよ」
「ホホホ、そうよね。せっかく三石さんに来ていただいているのですものね」
「ママ!!」
コロコロと笑う母に対して、目くじらを立てる丸美音奈。
「まあまあ、音奈ちゃん、コワイわ」
「もう」
丸美音奈が、柔らかそうな頬を膨らませる。
(丸美さんちは、母娘の仲がいいなぁ)
鉄臣君、一連をやり取りを眺めての感想だった。
突然、部屋のドアが開いて、3人が乱入してきた。
「音奈ちゃーん。ねぇねぇ、見て見て、ひよりちゃん、すっごくかわいいわよ!」
「お姉ちゃん。やっぱり、ひよりちゃんは天使だよ」
少々興奮気味の丸美シスターズ上下だった。
「あ、あの。先輩、ボク、似合ってますか?」
そこには、ボーダーのアーチストラップのカットソーに白のミニキュロット、黒のニーソを穿いた橘ひよりがモジモジしながら立っていた。
いかがでしたか?
丸美家は、夫婦に3姉妹の5人家族です。
次話をお待ちください。




