表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/168

部活動 5-4.1

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


鉄臣君、理性は保てたのでしょうか?


ではでは~


楠木さんは何事もなく朝を迎えた。


もそもそと身支度をするとリビングを覗きに行った。


ソファに目をやると誰もいない。

「あれ?寝息が聞こえるんだけど、どこ?」

毛布に包まり床で寝る鉄臣君を見た。


(せめてソファで寝てたらよかったのに)

「さて、だめだめクンのために朝食を作りましょうか」


 = = = = =


鉄臣君、味噌汁の匂いで目を覚ました。

「あれ、ここどこだっけ?」

寝ぼけて思考がついてこない。


「あーー、楠木さんに家だった」


立ち上がろうとした瞬間、生理現象に気が付いた。

「これはマズイ」


「鉄臣クン起きたんだね」

「お、おはようです」

「朝ごはん、できてるから、ダイニングに来て」

「あ、はい。ごめん、その前に顔洗って、トイレ」

鉄臣君、不自然にならないように股間に毛布をあてがう。

「うん、じゃあ、待ってるね」

楠木さんは、ダイニングに入っていった。


(よかったぁ。たぶん、バレてない)


楠木さんの部屋着は、夜とは違ってゆったり目のロングTシャツに下はスパッツっぽかった。

「昨日もああいう恰好だったら、目のやり場に困らなかったのに」

鉄臣君、顔を洗う頃には、生理現象は治まっていた。


 = = = = =


「「ごちそうさまでした」」


スマホの着信音とインターホンが同時に鳴る

≪ピンポーン≫

「たぶん、ほのかちゃんだ」


「じゃあ、後片付けは俺がします」

「ありがと」


楠木さんはインターホンの画面を覗き込んだ。

「ありがとう。こんなに朝早く。上がってきて」


「桃園さんが来てくれたんですね。じゃあ、ボクはできるだけ早くお暇するね」

「え、もう少しゆっくり・・・」

「バイトの準備もしたいから」

「あ、ごめん。・・・ありがとう」

「どういたしまして。・・・それとボクは今、来たところだから」

「あ、うん」


 = = = = =


「おはよう」

「大丈夫?」

「うん、来てくれてありがとう。さ、入って」

「うん。・・・クリスさん、確認してから入って」

「承知いたしました」



「えっと、誰か来てるの?」

「え?あ、ああ。さっき、鉄臣クンが心配して、来てくれたんだよ」

玄関で鉄臣君の靴を見つけた桃園さんが一瞥して気が付いた。

打ち合わせ通り答える楠木さん。

「ふーん。・・・で、かなみ君は、どこ?」

「うん、朝ごはんの後片付けをしてくれてるんだと思う」

「さっき来たのに、朝ごはんの食べたの? すごいね」

「え?あ、うん。たまたま・・・お昼、そう、お昼の分まで用意してたから」

「ふーん」

目を見ようとしない楠木さんに疑いの目を向ける桃園さん。



「楠木さん、ボク、帰ります」

キッチンで洗い物の終わった鉄臣君の声にふたりが顔を向ける。

『かなみ君』


「洗い物、手伝えなくて、ごめーん」

パタパタとキッチンに足早に入っていく楠木さん。



「お嬢様、マンション周辺含めて異常なしです」

「ありがとう」

「あの、お嬢様、差し出がましいとは重々承知しておりますが、絶好の機会と存じます」

「うん、謝る」


 = = = = =


鉄臣君、支度を終えた。

「じゃあ、帰りますか」


鉄臣君、リビングで楠木さんに挨拶をする。

「じゃあ、ボク帰りますね」

「うん、ありがとうね」

「何も起きないといいんだけど」

「うん。・・・まだちょっと、怖い」


「桃園さんたちがいるから大丈夫」

「鉄臣クンはどうするの?」

「バイトが終わったら、マンションの周りに張り込んでみるから」

「あの、その、・・・また泊まってくれてもいいんだよ」

「アハハ、そんなことしたら、楠木さんが落ち着かないでしょ」

「そ、そうでもないかも知れないよ」


「ああ、彼氏さんで慣れてるか」

「だから、彼氏なんていないよ」

「あ、そうだったね。うっかりしてた、ごめんなさい」

『もう、鉄臣クンのイジワル』


 = = = = =


桃園さんは玄関で待っていた。

「おはようございます」

「かなみ君、おはよう」

「楠木さんの話しだとかなり怖そうなので、ボクからもお願いします」

「あ、うん。あおいちゃんのことは大丈夫。紫苑さんたちにも連絡したし」


「ありがとうございます。じゃあ、ボクはバイトに行きますね。桃園さんも気を付けて」

「あ、ありがとう。かなみ君。それでね・」

「すみません、バイトの準備があるので、失礼します」

鉄臣君、桃園さんと居づらくなって、会話も切り上げ靴を履くと玄関から出ていった。


「あ、かなみ君、ちょっと」

バタンと玄関のドアが閉まる。


閉まったドアを見て立ち尽くす桃園さん。

「お嬢様。まだ、機会はございます」

「・・・、うん」

歪んだ顔の瞳から、大粒の雫が零れる。


 = = = = =


「あ、このTシャツ、楠木さんの借りたままだ」



いかがでしたか?


鉄臣君と桃園さんの関係は、修復できるのでしょうか?


次話をお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ