部活動 5-3.7
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
いよいよ大人の階段を登るのでしょうか?
ではでは~
楠木さんは風呂上がりの鉄臣君を唸って威嚇していた。
「むーーーー」
「・・・」
「むーーーー」
「・・・、なんか、すみません」
「むーーーー」
「お風呂上がったから、怒っているんじゃないですよね?」
「あのー、ボクのシャツは・・・」
「洗ってるよ。着替えのTシャツがあるから、着てね」
「え?女物のシャツじゃ着れないよ」
鉄臣君、女装趣味があれば、喜べたのかも入れない。
「大丈夫、ちゃんと男物だから」
「何であるの?・・・あ、ごめん。でも、彼氏のTシャツを着るのは、忍びないなぁ」
鉄臣君、ごく当たり前の推論を確信していた。
「か、彼氏って、いきなりなんてこと言うの!」
声が裏返ってしまった楠木さん。
「え?だって、男物のTシャツが、楠木さんに部屋にあるんだから、彼氏さんのでしょ?」
「・・・」
楠木さんは返事に困ってしまった。
<あるときから持ったまま>が、説明ができない。
「女の子は進んでるなぁ。ボクなんか、お子ちゃまだよ」
「鉄臣クン、勘違いしないでね。わたし、まだ誰とも付き合ってないから」
「大丈夫、言わないから。でも、今日ボクが泊まったりしたら、彼氏さんは誤解しない?」
「だーかーらー、彼氏なんていません!なって欲しい人はいるけど』
「ごめん、いませんの後が聞こえなかった」
「もう、いーです」
「なんか、ごめん」
= = = = =
「じ、じゃあ。わたし、お風呂に入ってくるから」
「はい、行ってらっしゃい」
「み、水着も着ないで入るから、の、覗かないでよ」
「うん、惜しい気はするけど、覗きませんから、ごゆっくり」
「髪とか洗ってると周りが見えなかったりするんだけど・・・」
「?」
「寝室は、カギが掛かっていないから、勝手に入っちゃ、・・・ダメ・だからね」
「わかった。リビングから出ないよ」
『ちょっとくらい、興味が有ってくれてもいいのに』
「なに?」
「もーーーーぉ! すぐに出てくるから!待ってて」
「?、はい」
= = = = =
≪ガチャン、バタン≫
≪シャーーーーーー≫
≪バシャバシャバシャバシャ≫
(?)
≪シャーーーーーーーー≫
(??)
≪ガチャッ≫
≪ブオーーーーーーン≫
「はあ、はあ、お、お待たせ」
「早っやっ。そんなに急がなくても。少しは信用してくれてもいいのに」
「え?そ、・・・信用してるよ。ま、待たせたら悪いかなって」
「何か急ぐことあったっけ?」
「!・・・、そうよね。急ぐことは無かったわね」
(わたしったらーーーー)
鉄臣君、もう眠るだけ。
楠木さんは何も急ぐ必要はなかったし、鉄臣君も用事はなかった。
楠木さんは、何を待たせると悪いと思ったのか、待ち遠しいと思ったのか。
= = = = =
「明日、朝から、ほのかちゃんが来てくれるって」
スマホの画面を見ながら、教える楠木さん。
「一安心だね。よかったよ」
鉄臣君、麦茶の炭酸割りを飲みながら一安心。
「・・・」
「何?」
「怒ってない?」
「何を?」
「その、急に泊まってもらったのにお礼とかしてないから」
「アハハ、何それ?」
「どうして、笑うの!」
「いや、だって、旅館とかに泊まったら、ボクが宿泊料を払うほうだよ」
「あっ」
「じゃあ、もう寝ようか」
「う、うん・・・」
「怖い?」
「う、うん。不気味なのは初めてだから」
「ニュースとかのストーカーって、怖いもんなぁ」
「あんまり怖がってない」
「うーん、そうかな?」
「だって、普通に眠そうだもん」
「まあ、なるようにしかならないし、生徒会だから安心してる」
「ひとりの時だと怖いよ」
「そういう相談は、桃園さんがいいと思うよ。警備員さん、そういうの得意そうだし」
「・・・、わかるの?」
「わからないけど、そんな気がする」
「鉄臣クンは護ってくれないの?」
「それは準備するよ。まだ未成年だしね」
「未成年?」
「まあ、不幸なことがあっても未成年だからね」
「意味が解らない」
「とにかく、明日も来るけど。彼氏に来てもらった方がいいんじゃない?」
「だから、お付き合いしている人なんかいません!」
「・・・」
「わかった?」
「あー、ごめん」
「よかった」
鉄臣君、気が付いた。
その表情は得心の深さを物語っていた。
「バレちゃうと困るもんね」
「もーーーー。鉄臣クン、わざとでしょ」
「え?何が?」
楠木さんの受難は続くようだ。
いかがでしたか?
まだまだ先は長そうです。
次話をお待ちください。




