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部活動 5-3.5

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


鉄臣君、楠木さんと夕飯を食べます。

ふたりっきりです。


ではでは~


鉄臣君、とあるマンションのエントランスに立っていた。


オートロックとカメラ付きインターホンが備えられていて、住民に開けてもらわないと入れない。

宅配便などの荷物もエントランスのロッカーで預かってくれるらしい。

楠木さんが言うには、女性の一人暮らしでも安心。


「えーと、楠木さんの部屋って、どこだっけ?」

ここにきて、そこそこ大事なことに気が付いた。


楠木さんに電話を掛ける。


話し中。


ちょっと待つ。



マンションの住人らしい人が横を通り過ぎる。


(すげー、怪しまれてる。まんま、不審者だもんな)


鉄臣君、いたたまれなくなって、再び電話をかけてみる。

今度は呼び出し音が聞こえてきた。

(よかったぁ)


≪鉄臣クン? 今どこ?≫

「エントランスにいます。部屋番がわかんなくて」


≪そこに誰かいる?≫

「今はいません。俺だけです」


≪よかった。開錠番号を教えるから、必ずひとりで入ってきて≫

「わかった」


鉄臣君、誰もいないのを確認してひとりでエントランスから中に入った。


「ひとりで入れました」

≪よかったぁ、1105だから、エレベーターで上がってきて≫


 = = = = =


1105号室の前でインターホンを鳴らす。

さっきまで通話していた少女の声で返事があった。


≪鉄臣クン、ひとりだけ?≫

鉄臣君、廊下を見回す。

「俺だけみたいだけど?」


≪じゃあ、すぐ入って≫


ガチャガチャといくつもの開錠の音が聞こえた後、扉が開いた。


「こ「すぐに入って、早く!」」

鉄臣君、引き込まれた。


「どうしたの? 何かあったの?」

「ごめん、ちょっとカギを掛けるから」

鉄臣君、楠木さんのただならぬ態度にとりあえず一つカギを掛けた。


「ありがと、ちょっと待ってて」

楠木さんは残りのカギとチェーンを掛けた。

その時、エプロン姿だと思っていた後姿は、ほぼ裸、に見えた。


「く、楠木さん、え、え?」

「・・・きょ!これは、部屋が暑いから・・・」

「そ、そうなの?」

「そ、そうよ。ウチの中じゃ、こんな感じなのよ。男子って、こういうの好き・・・でしょ? 変?」


鉄臣君、水着エプロンの楠木さんをついつい見てしまった。

見覚えのある真っ赤なビキニにフリルのついた白いエプロン。

「鉄臣クン、ちょっと恥ずかしい」

「あ、ごめん。ジャグジー以来でちょっとびっくりしちゃって」


「ご感想は?」

「俺なんかが見てしまって、ごめんなさい」

「もう、謝らないで。で、できたら、お世辞でいいから褒め言葉が聞きたいんだけど」

『目の保養?いや、エロ過ぎ?違うな。抱きつきたくなる?きっと褒められるのに慣れてるしな」

「なれていないよ。うれしいし」

「え?」

「だから、褒められるのに慣れて、い、ま、せ、ん。 抱きついても別にいいけど』

「また、声に出てたぁー」

鉄臣君、楠木さんの抱擁の許可は聞こえていなかった。


 = = = = =


「で、どうしたの?」

「何が?」

「俺が来たとき、ただならぬ様子って感じだったけど」

鉄臣君、楠木さんの隣で一緒に夕飯の支度をしていた。


「鉄臣クンが来るちょっと前にインターホンが鳴ったんだけど、画面に誰もいなかったの」

「それって、空き巣みたい?留守の家を調べるとかテレビで見たことあるし」

「ちょっと違うの。はっきりしないんだけど、誰かに見られてる感じがするの」

「もしかしてストーカー?」

「やっぱり、そう思う?」

「注意した方がいいな。警察に相談した方がいいよ」


 = = = = =


「久しぶりのロールキャベツだぁ」

「ふふ、良かったぁ」

素直に喜ぶ男子を眺めて、微笑む少女。


「巻くためにキャベツを一玉買うと2、3日キャベツ食べないといけないから、買う気が起きないんだよね」

「ふたりだと使い切れるもんね。持って帰る?」

「うん、助かる」

独り暮らしのおかげで会話がついつい所帯じみてくるふたり。


「わたし、明日、警察に行ってくる」

決心したように告げる楠木さん。


鉄臣君、ムクムクと咀嚼し呑み込んだ後、返事をする。

「それがいい。朝からなら、ついて行ってあげられるけど」

「ううん。鉄臣クン、真綾ちゃんところのバイトがあるんだしいいよ。ほのかちゃんに頼んでみる」

「それがいい。あそこの警備員さん、強そうだから、一人でも来てもらうと安心だな」

楠木さんの表情に小さく驚きが混じる。


「鉄臣クン、ほのかちゃんち行ったことあるの?」

「昨日、行ってきたよ」

「なんで?」

「え、どうかしたの?」

「な、なんでもない。なんでかなぁって思っただけ」


「夕飯を恵んでいただきました」

「・・・イヤな言い方」

「うーん、そうですか?感謝していますよ。俺なんかにごちそうしてくれましたから」

鉄臣君、楠木さんと桃園さんが仲のいいことを警戒して言葉遣いを切り替えた。


「どうして?」

「何がです?」

「言葉遣いが変わった」

鉄臣君、女の鋭さを甘く見ていた。学習しないと刺されるぞ。

いかがでしたか?


こっちでもトラブル発生の予感です。


次話をお待ちください。

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