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部活動 5-3.4

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


橘ひよりの家庭教師は、うまくできるでしょうか?


ではでは~


「ごぉめんなさぁーい」

橘ひよりは泣いていた。

マジ泣きだった。


「そんなにがっかりしなくていいよ。塩分補給って大事だし」

「すびばせーん」


鉄臣君、目の前で泣いている子を慰める方法を考えていたが、同年代の女友達がいなかったため、思いつかなかった。

しかし、いたたまれなくなってあることをしてしまった。


「よしよし、ボクは気にしていないから」

そういうと橘ひよりの頭を撫でた。


「は、にゅ」

気が付いた橘ひよりは、目を細めてされるがまま、頭を差し出すようにじっとしていた。


「落ち着いた?」

「はい・・・、いえ、まだです」

「え、どうすればいい?」

「ボクがいいというまで撫でてください」

「それでいいの?」

「それがいいです。・・・ほかに何かしてくれますか! 先輩」

目を輝かせる橘ひよりだった。

鉄臣君、返す言葉が無く撫で続けるだけだった。


「先輩の大きな手がボクの頭にピッタリです」

(橘さんが小顔なんだよ)


鉄臣君、問題が解けると頭を撫でてとねだる橘ひより。

疲れたと言って頭を撫でてとねだる橘ひより。

麦茶を飲むと頭を撫でてとねだる橘ひよりに手を焼いた。


今日の勉強はあまり進まなかった。

家庭教師を引き受けた以上責任がある。


明日は丸美音奈のバイト、橘ひよりの遅れを取り戻すために一緒にできないか。

丸美音奈が承諾してくれれば問題はないので、橘ひよりに確認してもらう。


予想通り返事は、OKだった。

ただ、通話から漏れ聞こえてくる言葉がちょっとひっかかった。

どうも丸美さんがひとりでふたりの相手をどうとか言っているらしい。

鉄臣君、勉強会のおかげで教えスキルが上がっていたので、すぐに気にしなくなった。


鉄臣君から見てもふたりは仲がいい。

期待通りで助かった。


「じゃあ、明日は丸美さんちでいいかな?」

「それがですね、先輩の部屋じゃダメでしょうか?」

「・・・べ、別にいいけど。学園まで来るのは面倒じゃない?」

「面倒なんかじゃありません。むしろ、集中しちゃいます」


「勉強じゃないことに集中しちゃいそうだな、ハハハ・・・アレ?」

鉄臣君、斜めに俯き上目遣いの橘ひよりを見ることになった。

「勉強にもちゃんと集中しますから」

かわいい顔で少しむくれてる。


「気に障ったら、ゴメン。俺、気配りが足りないから」

「そんなことないです。じゃあ、丸美に電話するのでちょっと待ってください」

電話をする橘ひより。


肩を落として通話を終わる橘ひより。


「どうしたの?」

「明日は、丸美の家になりました」

「何か都合悪いの?」

鉄臣君、橘ひよりと丸美音奈の実家の間に確執があるのかと心配した。


「丸美のお姉ちゃんがボクを着せ替え人形みたいにするんです」

「ああ、橘さんだと着せ替え甲斐があるだろうね」

「先輩のいじわる。最近、先輩はいじわるな時があります」

「え? 何がいじわる? 俺、何かやっちまってる?」


「ボク時々傷ついてるんですから」

「えーー、そうなの! ゴメン、気が付いていないんだ。悪いところは直すから、なんのことか教えて、いや、ください」

鉄臣君、橘ひよりを知らないうちに傷つけていたことに驚き、素直に土下座した。

「わ、わ、先輩、そんなことしないでください」

「橘さんが嫌な思いをさせてるなら、これくらいは当然だから。で、何が悪い?」


「うー、それはですね。先輩、ボクをときどきかわいいっていうでしょう。あれで傷つくんです」

「え? そ、そうなの? じゃ、じゃあ、どう褒めたらいいのかな?」

「うーん、かっこいいとか凛々しいがいいです」


「お、おー。褒め言葉のつもりが傷つけていたんだね。俺もかわいいとか言われることがあったから気が付かなかったよ」

「先輩でもかわいいって言われるんですか!」

「ま、まあ。食堂のおネエさんたちからだけどね」


『先輩でもかわいい、先輩でも、・・・かわいい』

「橘さん? どうしたの? 大丈夫か?」

鉄臣君、ブツブツつぶやく橘ひよりに話しかける。


「先輩!」

「はい!」

「ボク、かわいいでいいです。 がんばります!」

「え? あ、ああ、がんばって」

鉄臣君、方針を変えた橘ひよりにエールを送った。


 = = = = =


「じゃあ、明日は、丸美さんちで」

「先輩、待ち合わせしませんか?」

「そうだなぁ。連れていってもらうと助かるなあ」


「じゃあ・・・、・・・ボク、竹腰先輩の家の前で待ってますね」

「えーーーー、それは、・・・マズイよ」

「どうしてですか、どうしてですかぁ? お迎えに行きたいですぅ」

鉄臣君、ダダをこねるかわいい後輩を抱きしめたくなって、思いとどまった。


「いつも竹腰さんちからクルマで送ってもらっているんだよ。それも無理やり。どこで降りられるかわかんないだよ」

「へぇー、そうなんですか。じゃあ、丸美んちの最寄り駅でいいです」

鉄臣君、橘ひよりが思ったよりききわけのいいことにちょっと拍子抜け。


「じゃあ、3時に駅前で待ってますね、先輩」

「はい、3時だね」

待ち合わせ時間を決めて、鉄臣君の家庭教師バイト初日は終わった。


 = = = = =


「うーん、変かなぁ」

水着に着替えるとエプロンをして姿見で見た目をチェックする美少女。


「やっぱり水着よりインナーかな」


「・・・念のため、お風呂は沸かそうっと」

何かとんでもないこと企む楠木さんだった。

いかがでしたか?


夏休み、みんな大胆な行動を始めているかもしれません。


次話をお待ちください。

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