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部活動 1-3.2

ようやく、長い1日が終わります。


お花見はこの話でいったん終了です。

事件が無かったのですが、大勢の人間が集まった催し物ですから、

ドラマがあるのは当たり前。

それはまた別の機会に、


では、お楽しみいただければ幸いです。

楠木さんのマンションに行くバスは、待ち時間の方が長かったので歩いて行くことにした。


「鉄臣君、今日はお疲れさま。送ってもらうところまでありがとう」

「副会長もお疲れさまでした。」


「一緒に部活ができてよかったわ。あと・・・ぃ・・・っ・・・」

「はい?会長?最後のほう聞こえなかったんですけど」

「なんでもないの」


「鉄臣君、あなたはストレートって好き?」

「え?あ、ああ。髪の話ですか?似合ってればってか、奇抜じゃなければなんでもいいと思うけど」

「ふーん?じゃあ、似合っていないって、どんなの?」

割と真剣に楠木さんが聞いてきた。

「そうね、奇抜だったり似合っていないのを聞きたいわ」

畳みかけるように久遠寺さんも同じことを聞く。

「ツッコミはそこぉ?」

「「・・・・」」


「えーと。わかめちゃんカットとか」

(よし、うまくかわしたぞ)


「「わたしの髪型はどう思う?」」

「・・・。よくお似合いです」

「「・・・」」

鉄臣君、ダウト。追いつめられたぞ。

「お二人は髪つやつやで撫でたいですねー」

鉄臣君、テンパったー。

うっかり出た本音もごまかさねば、大変なことになるかもしれない。


いつの間にか両側を並んで歩いていたふたりの頭を撫で始めたー。

「「!!!、////」」

ふたりは嫌がるでもなく、並んで歩いている。

鉄臣君、止めるタイミングがつかめず、ふたりの頭を撫でながらマンションまで歩かされた。

マンションのロビーで楠木さんが俯いたまま別れ際に弱々しく

「・・・鉄臣君、勝手に頭を撫でたよね。髪触ったよね」

「はわわわ、ごめんなさいごめんなさい、つい気持ちよくって、い、いや、いい匂いで、じゃなくて、すみません!」


楠木さんは俯いたまま走って駆けていった。


(えーー、もしかして泣いてたー?小学校のときと同じだよー。学級会で吊るされた時とー)

鉄臣君、呆然自失。


鉄臣君、意識が体に帰ってきた。気が付くと久遠寺さんがちょいちょいと袖を引っ張っていた。

「鉄臣君、セクハラは見逃せないわね」

「・・・、はい。おっしゃる通りです。明日、謝ります」

鉄臣君、そこで閃いた。


「却下!」

「え?何も言ってませんけど」

「生徒会は辞めさせません。喪部の退部も承認しません」

図星、見事に言い当てた会長。

「でも、セクハラって会長が」

「生徒会、喪部でスキャンダルはぜーったいダメ!」

「じゃあ、どうすれば「だし巻き」・・・はい、わかりました」


鉄臣君、だし巻き指令が下されたとき、だし巻きを焼くことになった。よかったな、社会的に抹殺されずにすんだぞ。


折り返し、当然会長を女子寮まで送っていく。


鉄臣君、並んで歩くのはどうも落ち着かない。

超エリートの生徒会長の隣は居心地が悪い。

少し後ろを歩こうとすると会長の歩調が遅くなる。

それに合わせて少し後ろを歩こうとするとさらに

会長の歩調が遅くなる。

しまいには、立ち止まってしまった。


「鉄臣君!わたしのおしりを見ようとするの?セクハラね」

「いやいやいや、違います違います違います」

「何が違うの?後ろに回ろうとしているじゃない」

「え、えーと、そのなんていうか、並んで歩くのはちょっと」

「ちょっと何かしら?」

「並んで歩くと知り合い同士みたいじゃないですか?」

「それが何?」

「ボクと会長じゃ、不自然かなって」

「何が不自然なの?」

「だから、並んで歩くのがです」

「ごめんなさい。言っている意味がわからないわ」

「すみません、口ごたえするみたいですけど、ボクは会長と並んで歩いちゃいけないと思います」

「何よ、それ」

「すみません、お気を悪くされたなら、謝ります」

「何、その話し方」

鉄臣君、ヤバイ、ピンチだ。

「会長は成績も運動も音楽や歌だってトップクラスです。去年の学園祭とか体育祭とかすごかった。それにかわいい系の美人で、スタイルもいい。完璧なんです」

「わたしは完璧なんかじゃない・・・わ」

「いえ、完璧です」

「あなたは何を知っているつもりなのよ!」

久遠寺さんの声に怒気が混じる。

「全部は知りません、だけど、すごいのが全部努力の結果だということだから、ボクの中では完璧なんです」

「!!!」

「ボクも努力はしています。だけど、怠け者なんです。結果が出せません。会長は違います。結果を出せます。それも一生懸命努力した成果として。まあ、元からかわいいのは反則ですけどね」

久遠寺さんは俯いて動かなかった。

鉄臣君、なんとなく久遠寺さんの頭を撫で始めた。

「会長、送っていきます」

会長が小さくうなずくのを確認した雑用係。

久遠寺さんの歩くすぐ後ろを頭を撫でながらついていくように女子寮まで送っていった。

会話はなかったが、気まずさは不思議となかった。



次の日、新聞部特報が貼りだされ、ネットに配信された。

<喪部花見会 開催><卒業生各界から多数参加><開催費総額1,700万円><今後の行事運営に一石を投じたか!>

<ユートライヒ殿下お忍びでご参加>[<セクハラ事件発生か?乙女の涙が語る真実!>]

最後の記事だけ紙面に後から貼り付けてあった。


(・・・、おい)


「三石君、おはよう!!」

声のする方向には、いつもと違う弾けそうな笑顔の楠木副会長がいた。

鉄臣君、なかなか大変です。


次回からはGW編に突入。

ところが、書いているうちに予定外のキャラが生まれてしまいました。

不思議です。私が考えているのに。



では次話をお待ちいただければ幸いです。

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