表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/168

部活動 5-2.6

ここまでお読みいただい手ありがとうございます。


桃園家に変な空気が流れてきました。


ではでは~


チーフは恐れていた。


お嬢様は騙されているのではないか。


報告をまとめてみれば、一見、無害に見える少年は、監視に気づきながら物おじせず、冷静に対処する人物だ。


お嬢様ほどの美少女に対しても節度を持って行動してきている。

普通で考えれば、精神的に自制が利くと思えるが、思春期の少年らしくない。

お嬢様に対して興味が無いに等しい、あるいは色恋事に慣れている者の接し方と評価できる。


夕食の誘いには応じて屋敷内にいるという、その不自然さ、あるいは下心が引っかかる。


そして今、奥様の前にもかかわらずイチャイチャを始めたとなれば、何か目的があっての行動としか思えない。

お嬢様、そして奥様が危ない。

最悪の場合、桃園家の一大事。


あの現場から救い上げていただいた大恩に報いるときは今しかない。


チーフは無意識に腰の大刀の鯉口を切っていた。


 = = = = =


「どうかしたのかしら?」

「はっ!・・・いえ、チーフが、その、来ますのでお話を」

「あらあら、何かしら?」


「奥様、失礼いたします」

「クリスさんどうしたの?」

クリスさん(チーフ)は、部屋の入り口に控えて、ほのかママと話し始めた。

「お話がございます」

「どうぞ」

「ここではちょっと」

「あら、あなたにしては珍しいこと」

「お察しいただけると幸いです」


「・・・、ほのかちゃん」

「なに?ママ」

「ほのかちゃん、カナミ君をお部屋に案内してあげたら?」

「にゃ、にゃ、ミャマ。そんな、今はダメ」

「あら、どうして?」

桃園さん、ほのかママの突然の提案でテンパってしまった。

鉄臣君の方を気にして、次の言葉が出てこない。


「あのう、俺、そろそろ帰ります。今日はおいしいゴハンありがとうございました」

鉄臣君、空気を読んだつもりだった。


(わずかな会話でこちらの意図に気づくとは、何を企てるつもりだったのだ?)

(せっかくだから、ふたりっきりで過ごせばいいのに、奥手ね)

(えーん、なにを着ようか悩んで、服を出しっぱなしなんだもん)


「じゃあ、失礼します」

「あ、かなみ君送っていくねぇ」

「桃園さん、いりませんよ。帰りが危ないよ」


「じゃあ、クルマでぇ」

「ボクは、夕飯に呼ばれただけの学生だから、ここの人に迷惑をかけられないよ」

「むー」

「桃園さん、ボクなんかに気を使わなくていいよ」

その言葉に桃園さんが反応した。


『なんかじゃないもん』

「何?」

「かなみ君はなんかじゃないのぉ! いつもそうやって、みんなを見上げるように言うの! かなみ君は、わたしたちの、少なくともわたしは、かなみ君が、!!」

桃園さんが俯いてしまった。


鉄臣君、桃園さんが突然声を荒げたことの理解ができなかった。


「今日は、夕飯をいただいただけで充分にありがたく、感謝しています。これ以上のお気遣いいただくなくとも大丈夫です」

鉄臣君、できるだけ丁寧にお礼と遠慮の気持ちを伝えた。


その言葉が、気まずい雰囲気に拍車をかける。


「帰ってください。ご迷惑をおかけしました」

桃園さんの言葉には、感情が無かった。


「ほのかちゃん・・・」

ほのかママは、鉄臣君の立ち位置と娘が何を感じているか察してしまった。


 = = = = =


「何?なんか状況が見えない」

「非常にまずいんじゃない」

「チーフの指示に従うまでよ」


チーフは焦っていた。

(この雰囲気は、自分のせいか?思い違いなのか? いい感じをぶち壊した張本人? タイミングが悪すぎたのか)


 = = = = =


「ごちそうさまでした。ありがとうございました。失礼します」

鉄臣君、短くお礼を言うと部屋から出た。

廊下のいるメイドさんに声をかける。

「お邪魔しました。玄関まで連れていっていただけませんか?」

「あ、はい。こちらです」


鉄臣君、後ろを気にすることなく、メイドさんについて行った。


 = = = = =


「クリスさん、お話は何かしら?」

「はっ! 奥様、あの少年のことでございます」

「カナミ君がどうかしたの?」

「あの少年は危険と思われます。お嬢様もお気をつけたほうがよろしいかと」

チーフメイドの言葉は自信に溢れていた。

実質、桃園家の危機管理を任されている人だった。


「クリスさん、あなたの言っていることが、わからないのだけど」

「奥様、彼の行動にはいくつか不自然な点が見受けられます」

「例えば?」

「先ほどのお嬢様に対する態度は顕著な例かと」

「なぜかしら?」

「彼は、お嬢様に想いを寄せてはおりません。それでいて、夕食で上がり込んできました。何か目的があるのではないと考えます」

ほのかママは、考え込んでしまった。


「かなみ君はそういう人じゃない」

落ち込んでいた桃園さんが復活した。


「お嬢様、あの少年のやり口かもしれません」

「違うの。あの人は、いつもあんな風で、みんなと一緒のところにいてくれないだけ。ママ、わたし謝ってくる」

桃園さんは、そう言い残すとリビングを飛び出していった。

「クリスさん、ほのかをお願いね」

「かしこまりました」

チーフが桃園さんを追いかけていった。


 = = = = =


「あれ? かなみ君、いない」

桃園さんは、鉄臣君を見つけられなかった。

家を出て、駅に向かって走ったから、すぐに追いつくと思っていたのに。

彼の携帯に電話を掛ける。

謝らないといけない。

お願い、出て。

≪おかけになった電話は、現在、電源≫


その日、彼の携帯には電話は、つながらなかった。

いかがでしたか?


嫌な感じになってしまいました。

すれ違いはいつまで続くか?

桃園さん脱落か?


次話をお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ