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部活動 5-2.5

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


リアルに追いつかれました。

なかなか話が進まないものだなあと実感しています。


ではでは~

「カナミ君、ほのかのお料理は美味しいの?」

「はい? 美味しいです。もしかして、貧乏人の味覚はズレてますか?」

「や、そそ、そんなことはないわよ。ほのかのお料理を褒めてくれて、うれしかったのよ」

「すみません。ボク、外食できないんで、味覚が世間的にどうなのか心配なんですよね」


「もう、早く食べてよ。かなみ君、ママとばっかりお話ししないでよぉ」

「あらあら、ごめんなさい。ほのかが連れてきた男の子だから気になっちゃって」

コロコロと笑うほのかママ。


ぐーーー

「すみません、おいしそうな匂いでつい」


桃園さん、ニコニコしながら、大ぶりのお茶碗にご飯をよそう。

「はい、かなみ君、召し上がれ」

「ありがとうございます」

「むー」

少し機嫌が悪くなったような桃園さん。

「はい、ママ」

「ありがと」


「「「いただきます」」」


 = = = = =


メイドたちが桃園家の休息室に料理を持ってきた。

「おい、お前たち、喜べ! 今日はお嬢様の手料理のおすそ分けだ!」

「「「「ぅおーーーーーーっ!!!!」」」」

複数の男たちが雄たけびを上げる。


最初に呼び鈴で呼ばれたメイドさんが休息室にいる面々に命令する。

「器を持って並べ」


「くうーー。お嬢の手料理はいいよな。人に戻った気がするぜ」

「毒物チェックなしで食えるのがいい。おまけに最高に旨い」

「チーフ、私たちもいただけますか?」

他のメイドが尋ねる。

「当たりまえだ。野郎だけに食わせる道理はない」

「「「「サンキュー、マム」」」」


いつもは得体のしれない肉を焼いて塩だけで食べている連中が桃園さんの手料理に舌鼓を打っていた。


 = = = = =


「ごちそうさまでした」

「もういいの?遠慮はいらないよ」

「もう充分。美味しかった」

鉄臣君、腹だけポッコリ飛び出して、シャツの上からでもしっかりわかった。

桃園さんはその食べっぷりに満足だった。


「あ、何か飲み物持ってくるね」

桃園さんは冷蔵庫のほうに取りに行った。


ほのかママが居ずまいを正して鉄臣君のほうを見た。

鉄臣君、それを見てつられて座りなおした。


「カナミ君、これからもほのかの友達でいてくださいね」

「ふぇ?」

「ほのかは、小さいときに事故に遭ってから、コンプレックスがあるのよ」

「コンプレックスですか・・・」

「ダメ?」

ほのかママのかわいいしぐさは、母親の年齢とは思えない若く魅力的だった。

「い、いえ。ダメとかじゃありません。でもボクは友達とか対等な立場でありませんし」

「ほのかがそういったの?カナミ君にそういう態度なの?」

「そんなことは一度もありません。時々えろいしって怒られますけど」


「なになに?ママと何をお話ししてるのぉ?」

麦茶を持ってきた桃園さんが話の内容が気になったのか聞いてきた。

「クスッ、あのねぇ、カナミ君にねぇ、ほのかちゃんの彼氏になってって頼んでたのよ」

「はぅ」

「うぉ!・・・セーフ」

鉄臣君、桃園さんが目の前でトレーごと麦茶を落としそうになったのをギリギリ受け止め、惨劇をかろうじて防いだ。


ただし、桃園さんの手を握りこむ形になってしまった。

そのことを意識した瞬間、ふたりは固まって動けなくなった。


「あらあら、ママの目の前でもう手を繋いでイチャイチャするなんて、カナミ君も大胆ね。ウフフ」

「ミャミャ、しょんなんじゃ、ないみょん」

「すみません、すみません。ほかに思いつかなかったんです。すみません」

鉄臣君、手を離すとフローリングの張り付くように土下座していた。


 = = = = =


「何! 今日の客人は、お嬢の恋人候補だと!」

チーフ(メイド)は、スマホに声を荒げていた。

「は! 奥様のお言葉でした」

食事も終わるころということで廊下に控えていた当番メイドからの報告だった。


チーフは通話を終了し、休憩所を見渡し確認する。

「今日、客人の素行を確認したものは、誰か!」


「は! 自分は迎えのクルマを運転しておりました! マム!」

「報告!」

「物珍しそうに車内を見回した後、仮眠。目が覚めた後、お嬢の枕代わりを務めておりました」

「ふむ。・・・その時、客人に態度は」

「お嬢の寝たふりに気が付かず、お嬢が目を覚ますように行動しておりました」


「よし、わかった。ほかには?」


「は! 目標が玄関から入るまでを視認しておりました! マム!」

「報告!」

「目標は、小官を確認。会釈をして屋内に入りました」

「状況は?」

「自分は掃除に偽装して警報装置の点検中でした。小官の視線に気づいたものと思われます」


「うむ。ほかには?」


「は! 玄関で目標確認! マム!」

「報告!」

「目標は、小官に三和土で礼を言った後、靴を揃えて脇に置き、スリッパに履き替えました! マム!」

「貴様が感じた印象は?」

「目標より、お嬢の方が機嫌がよかったように思えます」


再びチーフのスマホが鳴る。

「わたしだ」

「客人とお嬢様が奥様の前でイチャイチャしている模様!」

「なんだと! 細かい状況をオクレ」

「確認できるのは音声のみです。かみかみのお嬢様と客人の謝罪の言葉が聞こえてきます、指示を待つオクレ」

「いかん、突入を許可する。われわれを欺くほどの手練れの可能性がある。応援を送る、以上」


チーフは、握った拳を口元に当てて状況を分析する。

一つの可能性を憂慮してメイドたちに号令をかける。

「侍女隊、帯剣装備! ついてこい」

チーフの号令一下、武装メイドが後に続く。


 = =  = = =


コンコン。

リビングの入り口でノックの音がする。

「どうぞ」

「失礼します」

ほのかママの許可が聞こえたメイドさんが入ってきた。


「何かしら?」

「はい、えー、そのー」

「どうしたの?」

「実はー」

メイドさんは、何かを告げるでなく、言葉を探しているようだった。


鉄臣君、桃園さんを食器を洗いながらその様子を眺めていた。


土下座のすぐ後、逃げるように食器洗いを買って出ていた。

ちなみにこのキッチンには食洗器が備え付けられていたが、使った器の量と大皿が入らなかったためだった。

鉄臣君、桃園さんが手伝うと言って横に並んだそのとき、不意に鳥肌が立った。


異変に気付いた桃園さん。

「どうしたの?」

「ううん。なんでもな・・・」

鉄臣君、言い終るまえに殺気の乗った視線に気づいた。

メイドさんが殺すぞ視線を送ってきていたのだった。

(な、なんで?)

いかがでしたか?


桃園家、特殊な家柄です。


次話をお待ちください。

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