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部活動 5-2.4

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


桃園さんちにお呼ばれです。


ではでは~

「フフ、かなみ君、ゴメンねぇ」

「もう、お願いします」

「でもなぁ、わたしって、魅力ないから、なんとも思わないんでしょ?」

「そ、そんなことないよ。時々思うんだけど、桃園さんって、魅力ないって言われたことあるの?」

「直に言われたことはないよぉ。でもね、全然、気にしてくれない人がいるの」

「それって、堀田さんじゃ」

「堀田さんは要さんがいるからいいの!」


「うーん、桃園さんを気にしない人って、先生とか?」

「違うよ、学生にいるの。そういう人が!」

「へぇー。そんな学生がいるんだ。もしかして、リア充なんじゃ?」

「ある意味、リア充かな?」

「ある意味?」

「そう、ある意味」

「どういう意味?」

「知らない!」

「ちょ、どうして怒りモードなの?」

「ほら、もうすぐ、私んちだから!」

「ボク、気に障ること言った?」


 = = = = =


「じゃあ、入って入って」

「お、お邪魔しまーす」

(うわー、武家屋敷? 車庫から勝手口が見えてたのに玄関に連れてこられたよ)


鉄臣君、玄関の立派な造りに感心していた。

ふと、視線を感じる。

庭を掃除している男性が視野に入る。

スポーツグラスをしていて目線が見えない。

使用人にしては体格が良すぎる。

プロ(・・)の警備員さんか)


屋敷の中から呼ぶ声がする。

「かなみ君、どうしたの?」

鉄臣君、庭で掃除をする人に会釈をして、玄関の敷居をまたぐ。


上がり框にスリッパを置いてくれる人がいた。

「ありがとうございます」

鉄臣君、玄関の三和土に立ったまま、お礼をいう。

(この人もプロの警備員さんか)

「かなみ君、ささ、上がって、上がって」

「お邪魔しまーす」

靴を脱いで揃えて脇に置いた後にスリッパを履く。


鉄臣君、桃園さんの案内で奥に連れていってもらう。

通されたのは、意外、洋風のリビング。

窓が借景になっていて、庭を眺められるようになっていた。

庭側の窓は嵌め殺しで開閉しないみたいだった。


 = = = = =


「いらっしゃい。君がカナミ君ね?」

鉄臣君、リビングで待たされていると女性が入ってきて確認された。


「は、初めまして。みついし かなみです」

「これは、ご丁寧にありがとうね。ほのかの母です」

女性は鉄臣君に桃園さんの母だと自己紹介した。


(ふぁー、桃園さん、お母さんに似ててかわいいんだー」

「う、コホン」

お母さんの後ろから咳払いが聞こえてきた。

「うー、えろいし君」

「あ、桃園さん。・・・何、また怒ってる?」

「ママにまでセクハラ」

「え?なにが」

「≪似ててかわいいんだー≫って、何?」

「ヒィーーーーーー」

鉄臣君、何度目かの心の声だった。いい加減自覚しろよ。


 = = = = =


「ふんふん、にゅふんふん♪」

対面式キッチンの向こう側で桃園さんが上機嫌で料理を始めていた。


「さっきのは、あの、桃園さんのお母さんじゃなくて、桃園さんがかわいいのは、お母さん似だったからなんだと感想をですね・・・」

「あらあら、カナミ君は、もうお母さんと呼んでくれるの?」

「え、いえいえ。そんな慣れ慣れしいことではないです。ものを知らなだけで」

「そう、おばさんが相手だもんね」

「違います。ちょっと年の離れたお姉さんと言われても信じます。今からでも信じます」

「まあ、そうやって、ほのかを口説いたのね?」

「へ?」

「違うの?」

鉄臣君、いきなり、わけの明からないことを耳にして、間の抜けた顔でフリーズする。

予想外の反応に戸惑うほのかママ。


「ママ! か、かなみ君は、口説いたりしてないよ! その、生徒会でいっしょな、・だけ、・・だから?」

鉄臣君、桃園さんが言葉に困って、上目遣いで何かを視線に乗せてくるのが見えた。

意味が判らないので、笑顔で返す。


「ふー、わたし、楽しみにしていたのに」

こめかみに人差し指を当てて、溜息を漏らすほのかママだった。


 = = = = =


「まあ、ほのかちゃん、今日はまた一段と張り切っちゃったのね」

「そ、そんなことないもん。夕飯だからちょっと量が多いだけだもん」

テーブルから零れ落ちそうな量の料理が並べられていた。

(うーん、お弁当のことを考えると桃園さんちの人は、たくさん食べる人種なんだろうな)

鉄臣君、失礼なことを考えていた。


「ほのかちゃんの頑張りが冷めないうちにいただきましょうね」

「もう、ママ、違うもん」

「でも、さすがにこの量はムリね」

「えー、でもー」

「ダメよ。残したものを食べてもらうのは、失礼でしょ」

ほのかママ、さすがに作り過ぎを冷静に判断した。

各料理の半分を別の器に移し、準備をすると貴族みたいに呼び鈴を鳴らした。

(え、それで誰かくるの?)


「御用でしょうか?」

ドアが開くと武家屋敷に不釣り合いなリビングにぴったりなメイドさんが入ってきた。


「ほのかちゃんが頑張って作ったの。みなさんにおすそ分け」

「ごくっ」

(え、メイドさん生唾飲み込んだ?)

「ありがとうございます。頂戴いたします」

言い終わるとメイドさんが指を鳴らして合図をすると4人のメイドさんが追加。

それぞれが器を持って、リビングから出て行った。


「ウチは、外で食事をするか、わたしたちが食事を作るの」

「へえ、そうなんですか。桃園さんの料理も美味しいのはそういうことなんですね」

「あらあら、ほのかちゃんのお料理は美味しいのね」

ほのかママが意味ありげに微笑んで桃園さんのほうに視線を向けた。

いかがでしたか?


桃園家の秘密はおいおい書いていこうと思います。


次話をお待ちください。

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