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部活動 5-2.3

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


桃園さん来襲です。


ではでは~


鉄臣君、図書室で調べものがあったという桃園さんに誘われ、食堂でティータイム。


「竹腰さんのバイトは、アヤメさんがいろいろ便宜を図ってくれるので助かってます」

「ふーん、で、クルマで送ってもらってるんですねぇ。真綾ちゃん、すっごく楽しそうだしぃ」

「あれは、婚約が白紙になったのをネタにして揶揄ってるからだと思うよ。移動中、ずっとだし」

鉄臣君、桃園さんの複雑な表情には気づかなかった。


「へぇー。でも、かなみ君は、うれしいんでしょ? 真綾ちゃん性格もいいし、かわいいもんね」

「うれしくはないよ。針のムシロっていうのかな」

鉄臣君、桃園さんの予想は否定した。


「え、どうして?」

「性格のいい竹腰さんの婚約を白紙にしちゃったのがボクだし」

「あれは、要さんと堀田さんのことを考えてのことだしぃ」


「間違いじゃなかったとは思うけど、竹腰さんにすごく迷惑かけちゃって、傷つけてるかもしれない」

『お花見にさえ来なかった真綾ちゃんが、転校までしてきてるのに』

「何?ちょっと聞きづらかったんだけど」

「何でもありません。じゃ、じゃあ、真綾ちゃんが責任とってって言ったらどうするの?」

「それは、やっぱり結婚相手・・・かな」

鉄臣君、さらっと重大発言。


「にゃ!にゃんにゃの!ま、ま、真綾ちゃんと結婚ーー!」

「へ? 違う、違う。竹腰さんの結婚相手を探すというか、応援するというか、そんな感じ」

「じゃ、じゃあ、真綾ちゃんが結婚したいって言ったら結婚するんですか!」

「プーーーっ。なんだよ、もう。真顔で笑わすのは無しだよ。なんで、竹腰さんが俺なんかと結婚したがるの?ピタゴラスイッチ並みの展開だね、アハハハ」

鉄臣君、桃園さんの問いを一笑に付す。


「ジーーーーーー」

「ご、ごめんなさい。でも桃園さんの言ってることが、現実的じゃないから」

「・・・もういいです」

「すみません、桃園さん、機嫌直してください。調子にのってました。反省します。許してください」


「もう。・・・じゃあー、喉乾いたから、それちょうだい」

鉄臣君、桃園さんの指さす先に飲みかけの紙コップを見つける。

「ああ、買ってくるね。ホット、冷たいの?」

「これ」

そういうと桃園さんは、素早く紙コップを手に取ると一気に飲み干した。


「それ、飲みさしだったんだけど」

「ふーん、そうなのぉ。別にどうでもいいわよ」

「桃園さん」

「何?」

「どうして俯いたままなの?」

「べ、別に。こうして居たいだけよ」

「はあ」

「かなみ君、もう少しだけ一緒にいてね」

「はい、いいですよ」


夏休みのティータイム、食堂で桃園さんは、かなみ君とふたりだけの時間を過ごしていた。


 = = = = =


桃園さんのスマホがSNSアプリの着信音を奏でる。

「かなみ君、ちょっとごめんね」

「気にしないでいいですよ」

桃園さんは、スマホを弄ると何かを書き込んでいた。

その後、すぐの着信音。

その内容を読む桃園さん。


読み終わると深呼吸をする桃園さん。


「桃園さん、何かあったの?」

「う、ううん。あ、あのね、かなみ君、よかったら、ウチでお夕飯食べない?」

「え! いいの? でも急になんで?」

「べ、別に特別じゃないのよ。パ、父が出張で不在なので、ちょっとさびしいかなって」

「それ、俺でいいの?もっと呼びたい人とか・・・付き合ってる人とケンカ中?」

「にゃ、つ、付き合ってる人って、だ、誰の話なのぉ」

「ボクは知りませんよ。楠木さんじゃなくて、さびしい時に家の呼ぶんだったら、付き合ってる人とかだろうから」

桃園さん、少し考え中。


「ふーん。かなみ君は、わたしと付き合っている人のこと、気になる?」

思わせぶりで誘導する桃園さん。

「堀田さんの一件以来、気にならないことはないです」

「じゃあ、教えてあげるから、お夕飯、一緒ね」


 = = = = =


「えーと、桃園さん?」

「・・・」

「眠っちゃった?」

「・・・」

鉄臣君、桃園家の車中で腕だけ金縛りに遭っていた。


 = = = = =


高級に分類される国産の乗用車の後部座席には、ひじ掛けがあり、ソファのようにゆったり座れた。

包み込まれるような座り心地に一瞬意識を奪われた次の瞬間、手と肩に重みを感じて目が覚めた。

(あっと、うっかり寝ちゃった。高級車って座り心地が違うよな・・・手が重い、柔らかい?)


状況を確認すると手に桃園さんの手が重なっていた。

鷲掴みされて、指のあいだに指があり、女の子の柔らかい感触が伝わってくる。

以前、桃園さんが恥ずかしがっていたのを思い出す。


桃園さんの手の平にはタコがある。

彼女からは教えてもらっていないが、握力の必要なものを扱ってできる類のモノ。

桃園さんはフワフワしている外見と違って、武術全般に詳しい。

喪部有志の護身術教室で投げられ役をしていると自然とわかってきた。


桃園さんちって何屋さんなんだろうと考えてると次の問題にたどり着くことができた。

さっきから、肩にすごくいい匂いの何かが乗せられている。


「えーと、桃園さん?」


 = = = = =


なんとかこの金縛りを解きたい。

健全な男子高校生としては、これ以上の刺激は、緊急事態になる。

少なくとも訪問先で生理現象を気づかれでもしたら、警察を呼ばれかねない。


『もし、もーし、桃園さーん。ボク汗臭いですよー』

「ううーん」

ビクッ!

鉄臣君、目を覚ましそうになった桃園さんから身を引いた分だけ寝返りを打つように一層身を預けられ逃げられない。

肩から肘まで密着されてしまった。


鉄臣君、手の甲がどんどん湿ってくるのが不思議だった。


「アレー、わたし、眠っちゃったのねぇ」

「・・・」

「かなみ君、かなみ君」

「・・・」

「そーかー、眠っちゃったのかー」

「・・・」

「ママに眠っている間に触られちゃったって言おうかな」

「ブフォ!」

「あー、狸寝入りだー」

「桃園さん、何にもしていないからね」

いかがでしたか?


これから、書いててちょっと嫌な展開になります。

夏休みは波乱です。


次話をお待ちください。

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