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部活動 5-1.4

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


食事のあとは後片付けが待っています。

食洗器は便利です。


ではでは~

アヤメさんがシンクの前で洗い物を始めようとしているところを女中さんが必死で止めていた。

「大奥様、お召し物が濡れますので」

「ああ、そうだね」

ぴしっと和装のアヤメさん、着物が濡れること自体は気にしていなかった。


女中さんは提案を聞いてくれたことに頭を下げた。

「ありがとうございます」

「エプロン持っといで」

「ですが」

「じゃあ、これのままでいいさね、紬は普段着だよ」

「お待ちください。誰か、大奥様にエプロンを!」

再び洗い物を始めようとするアヤメさんを女中さんが止めている。


 = = = = =


鉄臣君、あっけにとられてるところを竹腰さんがつっつく。

「ねえねえ、鉄臣さん、いいこと教えてあげようか?」

「え、何?」

「実はね、鉄臣さんって、お曾祖母様の好みのタイプなんだよ」

「はあ」

「あー、反応薄いなぁ。もうちょっとなんか無いの?」


「えーーでもー、そういわれてもお姐さんだしなー」

「お曾祖母様だったら、何なのよ」

「ボク、曾祖母ってよくわかんないし」

「そんなの誰でも一緒だよ」

「そうなの?」


「甘えたら?学費ぐらい卒業までお小遣い付きでくれると思うよ」

「それはしないわぁ。ボクが今やってるのは、自力でやっていくって決めたからで。実家に帰れば、学費出してくれるし」

「そうなの。鉄臣さんは、偉いな」

「偉くはないよ。ただの意地だし、逃げ道がある間は、まだまだ甘えがあるから自分に厳しくしないと」

「ふーん」


 = = = = =


「かな坊、こっちを手伝いな」

「はーい」

鉄臣君、アヤメさんに呼ばれてシンクのところにやってきた。

「なんだい、なんだい、真綾と何を話ししてたんだい?」

「あ、はい。学費の話です」

「そうか。・・・じゃあ、器を洗っとくれ。ウチがすすいで真綾が拭くから」

「はい」

鉄臣君、食器を洗い始める。

洗い終わった器からアヤメさんに渡す。

「はい、お姐さん」

「お、おう」

「お姐さん」

「うん、何ね?」

「割烹着、似合ってますね」

ガシャーン


「お姐さん、大丈夫ですか?」

「い、いきなり、変なこと言うんじゃなしゃねー」

「ど、どうしたんですか?」

(うわー、お曾祖母様、あんなに照れてる)


鉄臣君、割れた器を片付ける。

「かな坊、真綾、あとお願いさね。酔いが回っちまった」

「はーい」

竹腰さんが返事する。



「ふんふんふん♪」

「あのー、竹腰さん?」

「ほらほら、手を動かして」

「あ、はい」

鉄臣君、器が割れたのに機嫌のいい竹腰さんが理解できなかった。


 = = = = =


鉄臣君、仕事も終わり、帰り支度をする。

その恰好を見て驚く竹腰さん。

「ちょ、え、鉄臣さん。何なのその荷物」

「調理道具とかポリタンクとかだよ」


「どうして?」

「何が?」

「だって、ウチの厨房を使うんじゃなかったの?」

「使ったよ?」


「ちょっと待って、お曾祖母様に聞いてくる」

「わ、わ、わ、待って待って」

「勝手に入ってこないでください」

「は、はい。すいません」

「・・・、もう、何を言われたか知らないけど・・・」


「御堂さん!」

「はい、お嬢さま」

アヤメさんと入れ替わるように厨房の続きの部屋に入ってきていた初老の女性は御堂さんと呼ばれた。


「次、こんなことがあったら、お曾祖母様が大層不機嫌になると思いますので、是正していただけるようお願いします」

と竹腰さんが、大層不機嫌だった。


「かしこまりました」


 = = = = =


鉄臣君、帰りに勝手口で追っかけてきたアヤメさんに捕まった。

「こらー、かな坊。なんで相談しないさね」

「いえ、その、自分の責任の範囲で」

「じゃあ、雇ったウチの責任でウチの厨房を好き使いな」

「でも「でももかももありは、せんさね!こんな仕事させてるってだけで、竹腰の大恥さねぇ!! さあ、こっち来な」

「で、でも帰りの電車が」

「クルマで送ってやるさね」


鉄臣君、手を引かれ屋敷に戻ることに。

(お姐さん、意外と手が小さいな)

そんなどうでもいいことを考えていた。


「さあ、ここに荷物置きな。ついといで」

連れてこられたのは大広間。

(うわー、修学旅行のホテルと同じくらいだ)

鉄臣君、広さに驚いていると隣のアヤメさん、誰かを呼んでいた。

「かおる!かおる!」

「はい。大奥様」

「ちょいと、手の空いてるものを集めとくれ」

「はい」

御堂さんの下の名前はかおるだった。



しばらくすると使用人が速足で集まってきた。

「これで全部かい?」

「はい、手空きの人間です」

「ありがとな。んじゃ、よく聞いとくれ。ウチにこれから毎日ウチ(・・)の昼ごはんを作りに来てもらう、かな坊だ」

鉄臣君、バンと背中を叩かれ、前に出てしまった。

「いいかい、ウチが無理を言って頼んだんだ。失礼があったら、承知しないからね!頼むさね!」

いかがでしたか?


アヤメさん、書いててちょっと楽しいです。


次話をお待ちください。

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