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部活動 閑話 桃園ほのかの場合 その1

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


ちょっと時系列が外れてのお話です。

桃園さんの思い出です。


ではでは~


水平学園に入学してから初めて電車で帰宅する。


いつもはクルマで送り迎え。


今日は、クルマがお祖父さま達を空港まで迎えに行くことになっているので来られない。


だったら、チャンス。

普通の高校生らしく電車を使うと言っちゃった。

ハイヤーを頼みそうだったので慌ててやめてもらった。

どっちかというとお迎えをハイヤーにしたらどうかと思わなくもない。

まあこの際、どっちでもいい。


クルマで通学は贅沢かもしれないけど、家から電車を使うと乗り換えが2回有って地図上でV字に移動する。

とにかく時間がかかる。

両親の心配はそこにある。

門限はないけど、帰りが遅いとやはり心配らしい。

あおいちゃんみたいに一人暮らしに憧れて、寮に入りたいとお願いしたけど許してもらえなかった。

何かあったら心配だって、心配してくれるのはうれしいけど子ども扱いが気に入らない。



学園から駅までバス。

ほのかちゃんに聞いていたので大丈夫。

バスの中はほとんど学園の生徒。

授業のこととか遊びに行く約束とか、とかとか。


バスが駅前のロータリーに到着。

いよいよミッション開始である。


まずは、切符。

2回乗り換えのうち、1回は電車の会社がちがうので連絡切符を買わないといけない。

事前にネットで調べた。

大丈夫、ちゃんと買えるはず。

便利なカードがあるらしいけど作っている時間が無かったので、自動販売機に千円札を入れる。


・・・・

え、お札が戻ってくる。偽札?

いやいやいや、たぶん入れ方が悪かったのよ。

もう一度。戻ってきた。


なんでー、偽札なのー? なんちゃって。

そうじゃないくらいわかります。


でも、どうして?

となりの人も同じようにお札が返ってくる。

機械の調子が悪いのかな?

あ、隣の人、お札をひっくり返した。あ、入った。

よし、わたしもやってみよう。おっ、成功。

こういうやり方があるんだね。ふふふ、覚えたわ。



そういえば、さっきの人、学園で見たような。

でも、私服だったよね。 勘違い?


改札を通って、ホームへ。

列に並ぶ。


女性専用車両はこの時間にはない。

ちょっと怖いかも。

今の時間は会社員っぽい人が多くなってきてる。

たぶん大学生も混じってる。

これがラッシュなのね。


ダメダメ、物珍しそうにしていたら変に思われる。

落ち着いて、深呼吸。

落ち着いた。


ふと、前に並んでる人がさっきの人だ。

わたしよりちょっと背が高い。

背中が意外と大きいかも。

ちょっとだけ観察。

腕まくりした腕、太くはないけどガッチリしている。

フムフム、腰、細い! 肩幅と全然違う。

こうなると前からも見たくなりますね。

もう、ほのかは止まらないかも。


そうこうしていると電車がホームに滑り込んできた。

ドアが開くと人が溢れたように降りてくる。

流れが止まると今度は人が電車に吸い込まれていく。

わ、わ、乗れなくなる。


慌てて電車に入るとギリギリ乗れた。

後ろの人はあきらめたみたい。

となりに赤ちゃんを抱っこしたお母さんも乗っていた。

そうか、赤ちゃんがいるもんね。



たぶん初めて経験するぎゅうぎゅう詰めの電車。

手すりを持って長椅子のところの窓から斜めに見える景色を眺める。

わたし、電車で帰る途中だよ。

クスッ、初めてのお使いみたい。


 = = = = =


あれ?・・・なんで、わたし、手すりをおでこに当ててるの?

目の前に見慣れない手が手すりを掴んでる。

力がはいっているのが見てすぐにわかった。


あの男の人がすごく近づいてきていた。

わたし、眠っていたんだ。

でも、あの人、どうしてこんなに近いの?至近距離ってこのことでしょ。

電車少し揺れると引っ付きそうな位近くに来る。


【チカン】、きっとそうだ。

まだ、触られていない。

触られたら、声出さなきゃ。

でも、怖い、顔が見られない。

脚がすくんで、冷たくなってくるような感覚。

ダメダメ、だれか、助けて。

涙が滲んでくるのがわかる。


「ぅぇ、うぇ、びぇーん」

あ、赤ちゃん、そうだ、赤ちゃんとお母さんが乗っていたんだ。


「今日、人多くない?」

「○○線で事故があって、振替でこっちに人がきてるんだってぇ」

「それでかぁ、さっきの駅で誰も乗れなかったもんね」

「うちらも全然動けないもんね」


え、そんなに混んでるの?

あ、向こうの入り口、人があんなに押し付けられてる。

わたし、そうでもないよ。なんで?


あの男の人が怖いので、扉の方へ身体を回すとちょうど頭の高さにあの男の人の手。

こっちは壁ドン型なんだ。

もしかして、身体を盾代わりに赤ちゃんとお母さんを守ってるの?

動けないから、わたしはおまけか。

そういうことでしたか、これは疑って失礼しました。


ちょっとすごいかも。

電車がゆれるとうめき声が聞こえる。でも、わたしの立っている場所は、ギリギリ触れないように隙間を作ってくれている。

ではでは、この際なので、腕を観察させていただこう。

手すりを見て気が付いた。

手すりてっぺんに畳んだバンダナが置かれてる。

この男の人のだろう、さっきまで、わたしが枕代わりにおでこを乗せていた手すりに。


思い出した。

見慣れない手と一緒にこのバンダナがあった。


この人は、居眠りを始めて、おでこをぶつけそうになっているほのかのためにバンダナを置いてくれたんだ。

混み始めたら、わたしと赤ちゃんとお母さんを守ってくれてたんだ。


なんか、良い。

この男の人が気になってきた。


どこで降りるのかな?

どこに行くのかな?

どこに住んでいるのかな?

学園の人じゃないのかな?


もうすぐ終点、この男の人とお別れですね。

短い恋をありがとう、なんちゃって。


あー、まだはっきり顔を見てなかった。

このまま終わっちゃう。

いかがでしたか?


桃園さん、ひとりごとだと口調が変わっています。

家柄のせいもあるのですが、そのお話はいずれ。


その2を次話で投稿します。お待ちください。

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