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部活動 1-2.2

鉄臣君、持参のお弁当を食べそこなってしまいました。


まあ、社会とは厳しいものです。


彼は無事にお腹いっぱい食べることができるのでしょうか?


続きをどうぞお読みくださいますようお願いいたします。

突然のOB登場に生徒会の面々が固まっていたが動き出した。

「先輩もご一緒にいかがですか?」

久遠寺さんの素早い対応。


「いいよ、若者は気を使いすぎるな。・・馬に蹴られて死ぬも嫌だしな。ははは」

手をひらひら振りながら、OB料理人はその場から立ち去った。


空になった弁当箱が1つ。重箱のだし巻きは半分に減っていた。

手つかずの重箱は9段。


「お食事を続けましょうか」

「はい」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「三石君、どうしたの?」

「えっ、お弁当、ボ俺待ちですか?」

「そうよ。私たちであなたのを食べてしまったから、当然でしょ?」

「そういうもんですか?」

「気にせず食べましょう」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」


「あの~、どうして俺がみんなから見られてるんでしょうか?」

「何のことかな?」

「堀田さんも見てるじゃないですか」

「それは気のせいだよ」

「いえいえ、ボクのお箸をみんなガン見してますよ。箸の握り方おかしいですか?」

「あ、あー、それは君のお箸の使い方がきれいだからダヨ」

「語尾おかしくなかったですか?」

堀田さんは目を合わそうとしなかった。


それから数分間、緊張が続いた。


「いただきます」

鉄臣君、訳の分からないプレッシャーの中で里芋の煮物へ箸を伸ばした。

「うん、美味しい」

一口サイズの里芋を頬張り美味しそうに食べる。

桃園さんが気づかれないように小さくガッツポーズをする。

「三石君、里芋好きなのぉ?」

「時々食べたくなるなぁ。歯ごたえが割かし好きかも」

「作ったりしないのぉ?」

「単価が高いから買えない。食堂で時々出るけど煮過ぎちゃって柔らかいしなぁ」

「そう、・・・だったら、ウチで作った時、おしゅそ分けしましょウカ?」

「?、え、あ、いいの?お金はどうしたらいい?」

「そ、そんなこと気にしないで、たくさん作ったりしゅるから!!!」

なぜかカミカミの桃園さん。

じゃあ、お返しはとなって、お昼にだし巻きで契約が成立した。


久遠寺さんと楠木さんがなぜかむくれている。

「さあ、食事を続けましょうか!」

「そうですね!」

「ビクッ!!」

鉄臣君は得体のしれない危険を感じ、それには触れないようした。

「これ、美味しい!」

「ああー、いい塩加減だー」

「シャキシャキした食感で食欲が増すなぁ」

訳の分からないプレッシャーの溺れそうになりながら

9つの重箱の料理を褒めちぎりながら一通り食べたきった。

鉄臣君、さすがに苦しくて、周りに断って、行儀が悪くても寝転ぶことにした。

ふと視界に入ってきたのは、堀田さんと弥刀さんが仲良く並んで桜を眺めている姿。

その手はと見れば、指を絡ませた恋人つなぎ。

鉄臣君がまた異世界を覗いた瞬間だった。

食事中だぞ。

お行儀悪いぞ。

神様、ボクツライよ。


その後、重箱の中身は生徒役員たちと声をかけてきたOGOB達のお腹に収まった。


 = = = = =


昼を回り、お茶の時間になったころ、庭園の所々でお茶会や野点が開かれ始めた。

人の動きが停まったので、生徒会は参加者への挨拶に回ることにした。


OGOBの評価は上々だった。

これまでは、OGOB会は概ね宿泊施設を貸し切って行われ、天候に左右されない代わり殺風景になってしまっていた。

そこにぽっと持ち上がった定例行事に無い<喪部花見会>。

意外にも喪部では初めてのお花見。

天候に左右される行事は避けてこられてきたが、現役の企画と聞いて先輩たちは高額のカンパをして参加したくれた。

開催場所、移動手段、安全確保、医療体制など多方面からの援助のおかげで、ほぼ一週間という短期間で準備できた。


鉄臣君、社会エリートたちの力を改めて思い知った。

(もしかしたら天候もコントロールされててもおかしくないよな。でもいったい幾らかかってるの?ヘリ持ってる人とかどんだけ?てか、ここへリポートとかあるんだ!!)


鉄臣君、行く先々で誰とは知りようもなかったが、偉い人なんだろうなと漠然と感じた。

パンピーとオーラが違う。

会長や書記長は経済や政治、科学やら宗教などどんな話題でも話し相手をしているのを眺めて感心していた。


とあるお茶会の席で鉄臣君、声をかけられた。

「三石さん、今日は素晴らしいお花見をありがとうね」

上品な老婦人だった。婦人は正確に言うとOGではなかった。

夫がOBだったので、連れ添いでOGOB会に籍を置いているとか。

夫婦で桜を見るのが好きで、実はプロポーズも桜の下だったとか思い出を話してくれた。

最後に今日は本当によかったと。


鉄臣君は思った。

異世界でもモブキャラでもまあいいや、今日はいい日だな。



無事、花見会は終わった。

会場から、見る限り普通じゃないバンに護られた高級車、リムジンが溢れ出るように去っていく。

ヘリが飛び立ち、桜の花びらが舞い上がる。

((((来るときにここの上を飛んだら、桜が散って大変だったろうな))))

生徒会役員がOGOBを見送り、喪部部員が会場のゴミ拾いを手伝い、機材の撤去は業者に任せた。


チャーターしたリムジンバスで撤収する時間になった。

家に帰るまでが遠足。

鉄臣君、学園まで戻れば寮はすぐそこ。

やっと解放されると考えた。


しかし、その日はそのまま終わらなかった。

「三石君、反省会をあなたのお部屋でします」

「え?、えーーーーー!!!」

あららー。超エリート集団が部屋に乱入してきそうです。


鉄臣君も健全な男の子。片づける間もなく、部屋に入られると!


続きをお待ちください。すぐですw



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