部活動 4-2.1
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ユニーク3,000人超えー。
ありがとうございます。
テスト休みも終わり、学園生活が再開しました。
ではでは~
試験休み明けの登校日。
「あっれー、おかしいな。堀田さんの婚約騒動が記事になってない」
そう、堀田家竹腰家の婚約白紙事件は報道管制により、記事にはならなかった。
水平ちゃんねるへの書き込みも事情を知っている者が限られているため、スレはすぐに過疎化した。
(今回なんかは、不倫疑惑とかで叩かれるかと思ってたのに。俺だったら・・・、フッ、そんなのありえねえよ。悪いか!!! でも書かれると必ずセクハラ扱いだろうな。生徒会室以外に居場所がなくなっていってるし)
鉄臣君、しばし考える。
(これがイケメンとパンピーの差なのかな。しかし、堀田さんの周りって、美少女ばっかり集まってるよなぁ)
鉄臣君、他人事のように考えていた。自分を知らない高校生だった。
= = = = =
『おはよう』
鉄臣君、気配を消しながらも朝の挨拶をして教室に入った。
挨拶は大事だと考えながらも万が一、注目を浴びるのは避けたいという想いの姑息な手段だった。
その心配はこの日に限っては、無用だったかもしれない。
鉄臣君、いつもと様子が違うことに気が付いた。
教室の中は、特に男子の会話が多い。
「なあなあ、B組に転校生だって、それも花園レベル」
≪花園≫それは水平学園の美形最高ランクの称号。
生徒会メンバーを除くと学園内の花園レベルは1桁しかいない。
ちなみに以下、薔薇、百合となる。
何やら意味ありげだが、特に関係はない。伝統的なランク分け。
(へぇー、この時期に転校生かぁ。B組、久遠寺さんのところか)
ちなみに桃園さんと楠木さんはC組。
「なあなあ、休み時間に見に行ってみないか?」
「おう。校舎が違うと出会いがねえもんな」
(だよなぁ。渡り廊下を向こうだから、休み時間じゃ会うことないし)
「ねぇねぇ。聞いた?転校生って、もともと学園外喪部らしいの」
「へぇ、花園レベルが関係してるのかな?」
「あぁあ、喪部かぁ。憧れちゃうなぁー」
「あのねぇ、三石君は知っているんじゃない?ねぇ、聞いてみようよ」
「それ、イッツグッドアイデア!」
(うわ、今、いやな声聞いた!ボク何にも知らないよ。どうしよう、どうしよう)
「三石君、知ってたら教えて」
「ひぇ! にゃ、何かな?」
鉄臣君、やはり女子から話しかけられることに慣れていない。
思わず声がうわずってしまう。
「B組の転校生って、喪部の人なの?どんな人?どうして今、転校してきたの?」
「え? え? え? えーと。ボ俺、メール見てなくてよく知らないんだよ」
「へぇー、喪部は専用メールがあるんだぁ?」
「部外者じゃ存在も知らないよねぇ」
違う方向に話題が移っていく予感。
「いやいや、ただの連絡網だから。俺のは受信専用だし。ほ、ほら、みんなスマホでやってるみたいに会話ないから」
「「そうなんだぁ」」
「ごめんなぁ。何かわかったら、話しするわ」
「うん、お願い」
「そういえば、三石君ってどうして喪部なの?」
「・・・ゴメン。俺もよくわからん。部長も教えてくれないし」
「そういうのあるんだ」
「堀田さんの弱みを掴んでるってほんと?」
「え?そんなので喪部に入れないよ。抹殺されちゃうから」
「「だよねぇ」」
= = = = =
1時限後の休憩時間、何人かが教室を飛び出していった。
しばらくすると数台のスマホの着信音が鳴り響き、何かの通信が始まった。
(B組へ偵察部隊が到着したって感じかな)
2時限の始まる直前に飛び出していった生徒たちが戻ってきた。
2時限後、3時限後も同じことが繰り返された。
(へぇー、やっぱり花園レベルって、惹かれるもんなんだ)
鉄臣君、昼休みに生徒会室へ向かう。
(あぁ、喪部とか言ってたから、聞いてみようっと)
「こんにちわー」
「やあ、こんにちわ」
「お疲れさま、三石君」
(ああ、この雰囲気だよ)
「「しつれーしまーす」」
「「「こんにちわー」」」
「この間はありがとう」
「ふたりともありがとうね」
「いえいえ、そんな。ねぇ、あおいちゃん」
「そうですよ、気にしないでください」
「「しつれーしまーす」」
「「「「お疲れさまー」」」」
いつもの通り持参したシェア弁当を広げて昼食の準備を始めるメンバー。
「・・・」
「三石君、どうしたの?」
「会長、今日は遅いですね?」
「気になるかい?」
「ええ、まあ。転校生の話も聞きたいなぁとも思いますから」
「「「「!!」」」」
鉄臣君、リア充カップル(無事継続)以外のメンバーの反応に気が付かなかった。
「みついし君は、転校生さんが気になるんですかぁ?」
「転校生が気になるっていうか、クラスの子にわかったら教えるって約束をしたから」
「どうして、転校生を知りたいの?」
「あー、ほら、S組は校舎は違うから、休み時間で見かけるって無いし。俺、ここで会長に聞くしかないでしょ?」
「「ふーん。本当?」」
「え、なんで?なんか疑われてる」
鉄臣君、腑に落ちない。次の瞬間、それが氷解した。
「こんにちわー。鉄臣さん、いるー?」
いかがでしたか?
最後の声の主は、察しの良い方々はお判りだと思います。
次話をお待ちください。




