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部活動 4-1.8

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


鉄臣君の反省会が行われるのでしょうか?


ではでは~


「アヤメさん」

「お、会長のお嬢さん、どうしたね。荒らされると困るかい?」

「いえ、こちらへ」

頭を抱える鉄臣君の横を久遠寺さんがアヤメさんを誘導する。

つられて竹腰さんも付いていく。


三人は、本棚の前にしゃがみこんで

「ヒソヒソヒソ」

「ヒソヒソヒソ」

「ヒソヒソヒソ」


「ヒィーーー。それは、預かってるだけですから。彼女が部屋に遊びに来るからって、彼女がいないボクに預けていったんです」


「「「「「ほー」」」」」


「ねえねえ、堀田さん。三石さんって嘘つきなの?」

「うーん、僕が知る限り、限りなく嘘はついていないと思うんだけどなぁ」

「おい、おい、そりゃ本当かい?」

「はい、彼への絶対的な信頼に誓って」

竹腰家のふたりに堀田家代表が答える。


「堀田さん、ありがとうございます。預かっているだけです」


鉄臣君、何が疑われているか勘違いし、堀田さんのフォローにお礼を言った。

続けて、ここぞとばかりにおおげさにごちて見せた。

「いつになったら、彼女ができるんだろう?」

招かざる客たちは、がっくり肩を落とす鉄臣君をまるで珍獣を見るような目で見ていた。


 = = = = =


「よーし、ウチも若返ったし、真綾、帰るよ」

「うーん」

「なんだい、何か都合でも悪いのかい?」

「ごちそうしてもらってないから」

「ごち、ああー、そうだったね。かな坊、手料理」

「ええー、今日ですか?材料、残り物しかないですよ」

「じゃあ、それで美味しいの頼むさね」

竹腰家の女は強引だった。


「三石くん、わかってるわね」

「わたしも食べたいです。彼女さんのいないみついし君の手料理」

「緊張していたから、おなか減ってきちゃったかも」


「正輝君、いいかな?」

「じゃあ、僕らもお願いするよ」


「ええー!小さい調理器しかないから、時間かかりますよ」


「アハハ、作らないとは言わないんだねぇ。わかったよ。真綾、帰るよ」

「はい、お曾祖母様」



「お嬢さん方も送って行くからさ、」

「「ありがとうございます」」

「おや、眼鏡のお嬢さんはどうしたね?」

居心地の悪い弥刀さんは返事が鈍かった。


「要さん、居心地が悪いでしょうね」

「なんだい。まだ気になるのかい?」

「実を言うとひとりで帰ろうと思っていましたので」

弥刀さんは竹腰家から特に悪意が向けられていないことを理解して思っていることを口にした。


「抜けたことお言いでないさね。あの場に居座った女がさ」

「すみません」

「あはは。謝るところじゃないさね。ウチは肝の据わったやつは男でも女でも好きさね」


「・・・お言葉に甘えて。お願いいたします」

「うん、うん。素直なのは、いいことさね」


 = = = = =


「じゃあ、今度は3列目に要さん、真綾そしてウチ」

「2列目はドレスのお嬢さん、堀田のあんちゃんは助手席だよ。途中でのドアを頼むさね」

男子寮の前に横付けされた商用バンの前で快活に老婦人が指揮を執る。


クルマ組が乗り込むのを見届けるふたり。


「かな坊、ドア頼むよ」

「は、はい」

鉄臣君、アヤメさんに頼まれて即席ドアボーイになった。


閉じるときに視野に入るドレスは高そうだった。

(わあ、こういうのリアルにあるんだなぁ)

改めて認識すると物珍しくて見てしまう。


「かな坊、何見惚れてるんだい?もしかして、そのお嬢さんが気になるのかい?」


ドレスを着ていたのは、寮に近い楠木さんだった。

アヤメさんの言葉で楠木さんが赤くなる。


「こういうドレスが、リアルにあるんだと思って見てました」

鉄臣君、身もふたもない返事を返す。


「バカ、そういう時は、女に見惚れてたと言うんさね」

「はあ。でも俺が見てたらセクハラかなって思いますんで」

「その考えは変えな。見惚れたといわれて悪い気がする女はいないさね」

「わかりました。そうします」

「かな坊は素直でいいさね。さあ、ドアを閉めとくれ」

「はい。楠木さん閉めますね。ふたりともドレス似合ってきれいだよ」

鉄臣君、言い終わるとスライドドアを閉める。


バンは6人を載せて走り出した。

見送るふたり。



「さぁて、鉄臣くん。最後の一言はセクハラ?」

「へ?最後の一言?」

「<ドレスが似合っててきれいだよ>」

「え゛!声に出てました?・・・うぉーー!やっちまったぁーーーー」


 = = = = =


桃園さんと楠木さんは発車してから俯き続けていた。


「あおいちゃん、どうして俯いたままなのぉ?」

「ほのかちゃんこそ、どうしてよ?」

「今はだめー。きっと変な顔になってるからぁ」

「そ、そうなんだ。わたしは、顔が熱いだけだもん」


「「クフ、クフフ」」

によによが止められないふたりだった。



「まさ坊」

「はい、何でしょうか?」

「聞いておきたいんだが、お前さん、かな坊のこと、どう考えてる?」

「彼のおかげで人生が変わったんだと思います。だから、彼に頼られた時には全力で応援します」

「いい返事だ。気に入った。お前さん、真綾をもらってくれ」

「「「「「ええー、ここでそれですかー?」」」」」


「なんだい、真綾まで大声出して」

「え、だって、お曾祖母様」

「アハハハ」

老婦人が豪快に笑った。

いかがでしたか?


今回は反省会を回避できました。


次話をお待ちください。


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